マンションの購入といえば、現地に行ってモデルルームを見学し、間取りなどを確認するというのが長く定番だった。だが、今や仮想現実(VR)技術などを使って現地をよりリアルに再現する見せ方が可能になり、マンション販売に現地見学は必須ではなくなりつつあるようだ。
正面と左右の壁3面、さらには天井と床に8K、3D(3次元)映像と音声を使って、マンションのエントランス部分を映し出す―。5月にオープンした住友不動産の映像体感型施設「総合マンションミュージアム」(東京都港区)の一室だ。
約420平方メートルの同ミュージアムは、全8エリアで構成。ゴーグルなどを使わなくても立体的で臨場感があるのが特徴だ。入場者からは「真剣にマンション購入を考えてみようかと思った」「専有部だけでなく、エントランスなどの共用部も重要だと思った」といった声が寄せられたという。
同社は、ここでマンション購入に興味をもってもらった人には、全国にある同社の「総合マンションギャラリー」に誘導したい考え。ギャラリーではパソコンなどを使って物件を360度見渡すこともできる。また、YouTubeを使って、駅から物件のある場所までを歩いて紹介する動画も公開しており、どこまでも現地を疑似体験できる。
一方、自宅からでもスマートフォンやパソコンを使い、モデルルームを見学できるサービスを始めたのが大和ハウス工業だ。
同社は5月以降発売の全物件で、VR技術を使ってモデルルームを再現。場所や時間の制約なくウェブ上で見ることができる。例えば、間取り図で室内の廊下を選択すると、そこからリビング・ダイニング、寝室、玄関、洋室などを順に360度見渡せる。利用者からは「奥行きや広がりをリアルに感じられる」「(スマホなどで)何度でも確認できるので比較検討がしやすい」と好評だという。
もともと新築マンションの販売は完成前の“青田売り”が一般的だった。新型コロナウイルス禍でオンラインでの物件紹介も普及しただけに、VRが高度化すればするほど「現地を実際に見ないで購入」という流れが強まるかもしれない。(福島徳)
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