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» 2023年06月12日 17時49分 公開

「負け組」からも学びとる顧客の志向 アサヒビールが「復活総選挙」

アサヒビールが過去に販売したビール20銘柄の中から、ツイッターの人気投票によって選ばれた上位商品を復刻する企画「復刻ビール総選挙」を行っている。

[産経新聞]
産経新聞

 アサヒビールが過去に販売したビール20銘柄の中から、ツイッターの人気投票によって選ばれた上位商品を復刻する企画「復活ビール総選挙」を行っている。対象となる銘柄は、発泡酒や第3のビールの台頭もあって売り上げに苦しんだ時期のものだ。10月の減税を控えビール市場の拡大が見込まれる今、いわば「負け組」の商品からもあらためて消費者ニーズを探ろうという試みは、新社長が進める顧客重視の一環といえそうだ。

6月15日まで行っている「アサヒ復活ビール総選挙」

 投票の対象は平成3年発売の「ほろにが」から同30年の「グランマイルド」まで、定番商品とはならなかった20銘柄。5月26日〜6月15日の期間中に1人3票まで投票でき、上位の銘柄を今秋以降に商品化する。

 企画を発案したのは同社マーケティング本部上席主任研究員の寺門誠さん。昨年10月、「もう一度飲んでみたいというお客さんの要望に応えるのが面白い」と当時、専務兼マーケティング本部長だった松山一雄社長がゴーサインを出した。

 今年3月に就任した松山社長は、スーパードライを生み出すなどアサヒビール中興の祖とされる樋口広太郎氏以来、37年ぶりの外部出身社長。現在のP&Gジャパンではマーケティング畑を歩み、5年前にアサヒビールに転じてからはヒット商品「スーパードライ 生ジョッキ缶」にも携わった。

 伝統的に営業力を強みとしてきた同社にあって、松山社長が重きを置くのはその経歴からも分かるように顧客の志向だ。担当者によく尋ねるのが「これは何のためにやるの? お客さまは喜ぶの?」。顧客目線での商品開発にこだわりを見せてきたという。

 今回の総選挙も、かつて販売した銘柄が対象とはいえ、消費者の投票で新商品を選ぶという究極の顧客重視企画。新たなヒット商品につながるか注目される。(日野稚子)

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