複数のロボットが自らエレベーターを使って上下階を自由に移動して清掃、警備、配膳さらには配送までを担う……。そんなSFのような世界がすでに実現している施設が東京都内にある。
早くから建設現場にロボットを導入してきた大手ゼネコンの鹿島がメーカーの異なる複数台のロボットを一元管理して制御する実証実験に成功した。サービス業などを中心に人手不足が深刻化するなか、ロボットが生産性の向上を担う。
実験は羽田空港(東京都大田区)に隣接する複合施設「羽田イノベーションシティ」(延べ床面積13万平方メートル超)で実施。空港跡地のこのエリア一帯(約5.9ヘクタール)では、ロボット活用のほか自動運転など、大田区と鹿島などの民間企業が官民連携事業としてスマートシティー化に向けた実験を続けている。
なかでもロボットの活用は「生産年齢人口の減少と担い手不足」「生産性の向上」という同区の抱える課題に対応するもの。
実験ではメーカー4社のロボットを使って、おもに(1)ロボット間の連携(2)メーカーの異なるエレベーターへの乗降(3)ロボット全体の一元的な管理・監視―などを実証した。
通常、ロボットの管制システムはロボットごとに異なるため、複数ロボットを導入する際には管制システムも複数導入する必要があり運用コストもかさむ。
実験では複数ロボットの情報を集約して一括制御するシステムを構築。ロボット同士の衝突防止のほか、メーカーの異なる複数のエレベーターにスムーズに乗降できることなどを確認したという。
管理についても、「ロボットの専門知識がなくても操作が可能なシステム」だという。
気になるのはサービスの正式な導入・稼働時期。
鹿島では「未定」としているが、その一方で「今後、本格実装に向けて機能を拡充していくとともに、他の大規模施設などへの展開を図る」とも説明する。
今回の成果によって、複数のロボットが縦横無尽に移動して清掃や警備はもちろん、配膳や配送などさまざまなサービスを担う“未来のビル”が各地に出現する日もそう遠くはないようだ。(福島徳)
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