――経済成長が著しいアジアでの液化天然ガス(LNG)の需要をどうみるか
「アジアでは、(火力発電の燃料を)石炭からLNGに換えることで二酸化炭素(CO2)の排出量削減を目指す国もある。(巨額の新規投資が必要な)再生可能エネルギーへいきなり移行するのは難しいからだ。アジアを低炭素から脱炭素に移行させるかを真剣に考えないといけない」
――国内外で再エネ由来の電力を増やす目標を掲げている
「現在は太陽光やバイオマスの発電が中心だが、今後伸ばすのは洋上風力。国内でも将来の可能性が大きい。2030年までに(足元の約4倍の)600万キロワットまで伸ばす計画だ」
――洋上風力をどう伸ばしていくか
「将来性があるのは(風車を海底に固定しない)浮体式だ。1社でやるには規模が大きく、他社との連携も必要となる。出資している(浮体技術に強みがある)米新興企業から技術を習得するなどして進める」
――令和12年に国内ガス販売量の1%を水素とCO2から合成するe−メタン由来とする目標を掲げる
「既に研究所で(都市ガスに使用するメタンと)同等成分のe−メタンを作っている。1%は実際には約8千万立方メートルという膨大な量で、大規模なプラントが必要。水素を安く作れ、CO2を容易に入手でき、日本に輸出するインフラなどをトータルで考え、(参加する)米国のプロジェクトを優先的に進めている」
――5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)でエネルギー分野も主要テーマとして議論された
「(首脳声明で)脱炭素化は欧州流の手法だけではなく、(各国の手法に)さまざまな道筋があることが明確にされたのが良かった」
――脱炭素社会で目指す企業像は
「会社名は東京ガスだが、日本全国、海外にも事業を広げており、電力事業も第2の柱といっていいレベル。すぐに名前を変えるわけではないが、総合的に展開するエネルギー企業としてブランドの再構築は考えている」(梶村孝徳)
ささやま・しんいち 東大工卒。昭和61年、東京ガス入社。執行役員総合企画部長、常務執行役員、取締役専務執行役員、副社長などを経て、令和5年4月1日に社長就任。61歳。岡山県出身。
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