若い世代を中心にテレビ離れが進む中、民放各局が事業の多角化を進めている。TBSはゲーム事業への本格参入を発表。教育事業会社を連結子会社化し、教育分野にも進出した。テレビ東京はAI(人工知能)を駆使したキャラクタービジネスをスタートさせる計画だ。これまで培ってきたコンテンツ製作力を活用しつつ、新たな収益源としたい考えだ。
TBSは7月5日、ゲーム事業への本格参入を発表するとともに、プロモーション用のサイト「TBS GAMES」を公開した。
サイトでは「風雲!たけし城」「どうぶつ奇想天外!」など、これまでゲーム化されたTBSの番組タイトルなどを紹介。番組IP(知的財産)を使用したゲーム開発を協力会社と進めるとともに、将来的には有名ゲームキャラクターのような世界中で親しまれるオリジナルのIPをつくりたいとしている。同日の定例会見で龍宝正峰取締役は「強いIPをもって展開していくことを考えても、非常に可能性が高い」とゲーム事業に期待を込めた。
TBSは6月には、個人指導塾などを運営する「やる気スイッチグループホールディングス」(東京都中央区)を連結子会社化。映像制作技術を活用した新たな映像教材づくりや、メディアとしての発信力を生かした会員数拡大を進める。
一方、テレビ東京は6月、シンガポール企業と共同で、AIが会話文を作って話すキャラクター「AI VTuber」を開発すると発表した。将来の「スター」となるIPに育て上げるべく、今夏事業を開始する。テレビ朝日もインターネット上の仮想空間「メタバース」の専門部署を昨年設立するなど、新規領域の開拓を進めている。
各局が経営多角化を急ぐ背景には、テレビのメディアとしての地盤沈下がある。
総務省が毎年行っている「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、令和4年の平日1日あたりのテレビのリアルタイム視聴時間は135.5分。175.2分だったインターネット利用時間を3年連続で下回り、その差は年々拡大している。こうした状況を反映し、収益の柱である広告費もネットに逆転されている。(織田淳嗣)
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