竹中工務店、清水建設、NTTコミュニケーションズの3社は11日、東京都内で記者会見を開き、工程管理のデジタル化など建築現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向け、協業を始めたと発表した。具体的な業務に関してゼネコン同士が個別に連携するのは異例。背景には、残業規制の厳格化で人手不足の深刻化が懸念される「2024(令和6)年問題」があり、現場の負担軽減を図りたい考えだ。
もともと担い手不足が大きな課題となっている建設業界では、一つの会社内においても、工程の作成や進捗確認など個別の業務ごとに特化したシステムが導入されているため、システム間の連携不足などが生じ、施工管理におけるDXは遅れていた。
大手ゼネコンの竹中工務店と清水建設は、それぞれ個別にNTTコムと改善を検討していた。しかし、来年4月となる時間外労働の上限規制の厳格化を目前に控え、3社が垣根を越えて協業することで、生産性向上の取り組みを加速させる狙いだ。
清水建設の山崎明専務は「図面情報などのデジタル化は進めてきたが、工程管理のデジタル化が最後の課題だった。竹中工務店が先に検討を始めたと聞き、協業を持ち掛けたところ快諾してもらった」と経緯を説明した。
今回の協業を通じ、NTTコムは工程管理や作業員の手配、作業指示といった施工管理情報をデジタル化し、連携させるシステムの開発などを担当。竹中工務店と清水建設は工程管理データの整理や自社現場における取り組みの実践などを担う。総労働時間ベースで3割の効率化を目指す。
工程管理データの連携サービスの導入は今年度中を予定。将来的には建設現場への定着化を図り、収集した工程関連データを基に建設ロボットとの連携といった他の技術開発への活用や、建設会社ごとに異なる工程情報の標準化などによる建設業全体のプロセス革新につなげる。
NTTコムの小島克重常務は協業を通じて開発するサービスのパッケージ化を進め、「業界標準を目標とし、他社への販売を目指したい」と意気込んだ。
(川島優治)
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