三井住友フィナンシャルグループ(FG)による新興決済サービスのVポイントが、各種ポイント還元による新規利用者獲得を仕掛けている。一方、スマートフォン決済などを展開する楽天グループやPayPay(ペイペイ)といった既存のポイント陣営は、サービス開始当初に実施したような大規模ポイント還元キャンペーンによる消耗戦を封印し、利便性向上などによる既存利用者の囲い込み戦略で対抗する姿勢を強めている。
PayPayは20日、インターネットが利用できない場所でも決済できる新機能を追加した。国内のスマホ決済では初となる。1回当たりの決済額の上限は、利用者が保有するPayPayの残高か5千円のどちらかで、1日に2回まで使用できる。
PayPayのオフライン決済機能は、相次ぐ大規模通信障害でスマホ決済が利用できなかったことを受けて開発された。アプリ利用者のスマホがオフラインのときだけ表示される決済画面を、固定回線などでネットに接続している大手のドラッグストアやコンビニエンスストアなどで読み取ってもらい支払いを完了する。
「楽天カードは、もちろんすべてのクレジットカードを楽天ペイに登録できるようにしている」。楽天ペイを提供する楽天ペイメントの小林重信社長は12日の発表会でこう述べた。PayPayがアプリへのクレカ登録を自社クレカに限定すると5月に発表したところ炎上して延期に追い込まれた事態を意識しての発言だ。楽天ペイはアプリを立ち上げずに決済が可能になる機能を他のスマホ決済に先行して導入するなど、使い勝手の改善に以前から注力している。
一方、新興のVポイントを展開する三井住友FGは、米VISAとタッグを組んでポイント還元に注力している。VISAの非接触型決済「VISAタッチ」をスマホで利用すると大手コンビニなどで7%還元を受けられるのがその代表施策だ。Tポイントとの統合後は大規模ポイント還元の対象店舗も拡大する可能性が高く、既存陣営とのつばぜり合いは激しさを増しそうだ。(大坪玲央、根本和哉)
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