――今年度が最終年度となる3カ年の中期経営計画の進捗(しんちょく)は
「東京都民銀行と八千代銀行、新銀行東京の3行が合併し、きらぼし銀行が誕生した際の平成31年3月期の業績は(株式、債券などの運用損益を除いた)銀行本業の損益が赤字だった。令和5年3月期は貸出金残高の増加や業務改革の効果などもあり、216億円の黒字を計上。財務計画は順調だ。次期中計もデジタル分野への投資を行いつつ、人員や拠点の削減は継続する。生産性を上げ、費用対効果の最大化を図りたい」
――各銀行は顧客の利便性を高めるため、デジタルサービスを強化している
「当社もデジタルを軸にしたプラットフォーム構想を掲げ、ようやく基盤と事業パートナーが固まり、これからサービスを提供する段階に入る。昨年にデジタルバンクのUI銀行を立ち上げ、預金残高や口座数も計画通りに伸びている。提携した三菱商事とサービス事業者を開拓していく。個人向けのデジタルサービスに強みを持つ韓国の新韓銀行との提携で、デジタル戦略や技術を高めたい」
――東京圏の金融グループとして、どのように存在感を発揮するか
「将来像として中小企業や個人顧客のために『金融にも強い総合サービス業』を目指している。東京圏の事業承継や創業、脱炭素化などの課題をグループ社員が一体となって考え、地域社会の持続的な発展に貢献したい」
――東京圏はスタートアップ(新興企業)が多い
「新しい企業が出てくることは地域活性化につながる。スタートアップ支援で地域を活性化させたい。2年前に羽田空港近くに起業支援拠点を開設した。国内外のスタートアップが集積する拠点に育てる。7月に創業支援室をSS(スタートアップ・スタジオ)部に格上げし、人員も2倍以上にする。国内と海外のスタートアップをつなげる取り組みに力を入れたい。最近の取り組みでは最初から世界展開を視野に入れている北欧の新興企業との交流も深めている」(黄金崎元、写真も)
わたなべ・ひさのぶ 中央大卒。昭和60年、東京都民銀行(現きらぼし銀行)入行。平成30年に東京きらぼしフィナンシャルグループ副社長兼きらぼし銀行頭取。令和2年から現職。60歳。東京都出身。
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