――電力の安定供給と中長期の脱炭素化の両立にどう貢献するのか
「まずわれわれが運営する発電所や送変電設備でトラブルを起こさず、きちんと安定的に運用することが肝心だ。中長期的には発電時の二酸化炭素(CO2)の放出を減らすため、設備の改良や更新が必要となるが、そのコストが大きな国民負担にならないようにしないといけない」
――再生可能エネルギー導入拡大にどう取り組むか
「事業者として最大限の取り組みを進める。中心的に取り組んできた陸上風力発電は既に北海道から鹿児島まで多くの発電所を持っているが、今後も開発は着実に進めたい。将来的な伸びが期待できる洋上風力発電にも積極的に取り組む」
――洋上風力発電には二つの方式があるが
「海底に風車を固定する着床式は、沿岸部の有望な場所での開発の見通しが立っており、今後の拡大は限定的とみている。沖合に風車を置く浮体式の場合、発電した電気をどう運ぶかが課題だ。長距離送電に携わってきた経験を生かすことができればと考えている」
――経済成長が著しいアジアへの進出に積極的だ
「東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々はほぼ確実に経済の発展で電力需要が伸びていく。15〜20年かけて、投資を回収できるようなビジネスモデルを作っている。既に進出して期間が経過しているタイは大きな収益源となっている。インドネシアでは昨年新しい発電所の運転を始めた。フィリピンでも水力発電の開発を行っている」
――建設中の大間原子力発電所(青森県)の展望は
「かつて、大間で勤務していたころの町役場や商工会の若手の方が、今は地域の中心として活躍されている。社長就任後、あいさつで町を訪問したが早期の運転開始に向けた強い期待を改めて実感した。まずは、原子力規制委員会の審査に合格しないといけない。資料のミスについては再発防止を徹底し、速やかに審査していただけるように全力で対応したい」(永田岳彦)
かんの・ひとし 筑波大比較文化学類卒。昭和59年電源開発(Jパワー)入社。常務執行役員、取締役副社長執行役員などを経て、令和5年6月から現職。62歳。山形県出身。
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