半導体や蓄電池、磁石など重要物資について、人権や環境に配慮して製造されたことなどを条件に、政府が調達企業に補助金を出す新制度の導入を検討していることが3日、分かった。中国製ではこうした配慮はされていないとみられることから、重要物資の国産化を促す狙いがある。今秋取りまとめる経済対策に盛り込み、まずは電気自動車(EV)向け磁石を対象に実施する。
西村康稔経済産業相が6日に英国を訪問し、安全保障関係のシンクタンクで講演し表明する。英国など、市場の公正性を重視する米欧の有志国にも同様の制度導入を提案し、重要物資を相互に安定調達できるサプライチェーンを構築。新たな経済連携枠組みの設立を目指す。
対象となる重要物資は、デジタル化や脱炭素社会の実現に欠かせない半導体や蓄電池、磁石などを想定する。
強制労働の不使用や二酸化炭素(CO2)の排出抑制といった人権・労働や環境に関する基準を満たすほか、供給混乱時に輸出管理を行わない国・地域で製造されていることを条件に、重要物資を購入する企業に補助金を出したり、公共調達で優遇したりする。
安価な中国製品に依存する現在の構図では、「経済的威圧」の“カード”として使われる懸念がある。重要物資の中国への依存度を下げ、安定調達を図る狙いがある。国産の部素材の利用を促すことで、国内投資拡大にもつなげる。
米国も北米で最終組み立てを行うことなどを条件に、EV1台当たり最大7500ドル(約110万円)の税控除を実施。ただ、投資を自国に集中させる政策で、世界貿易機関(WTO)ルールからの逸脱も指摘される。日本政府は関係国に理解が得られやすい方法でサプライチェーンからの事実上の中国排除を進める必要があるとして、新たな制度導入を呼びかける。
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