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» 2023年09月08日 07時57分 公開

宇宙ビジネス、異業種参入相次ぐ 2040年に150兆円市場へ

宇宙ビジネスに異業種からの参入が相次いでいる。2040年には世界市場規模が150兆円近くに拡大するとの予測もあり、日本国内でも成長産業として期待されている。

[産経新聞]
産経新聞

 宇宙ビジネスに異業種からの参入が相次いでいる。2040年には世界市場規模が150兆円近くに拡大するとの予測もあり、日本国内でも成長産業として期待されている。市場への関心が高まる中、日本の主力大型ロケット「H2A」47号機の打ち上げ成功も企業の進出を後押ししそうだ。

 米証券大手モルガン・スタンレーの報告書によると、世界の宇宙産業市場規模は40年には1兆ドル(約148兆円)超となると予測。日本政府は6月に閣議決定した宇宙基本計画で、30年代の国内市場規模を20年比の2倍となる8兆円に拡大させることを目標としている。

 大手海運の日本郵船は今年度から4年間の中期経営計画で、新規事業の一つとして宇宙関連事業への挑戦を掲げ、今年4月には宇宙関連事業の組織を設置した。目指すのは、ロケットの洋上打ち上げ事業だ。

 洋上打ち上げは船舶を国土から遠く離れた発射ポイントまで運航することで、安全にロケットを発射することができる。今後、打ち上げのための船舶も建造する考えだ。

 異業種からの進出を促す取り組みも行われている。三井不動産などは一般社団法人「クロスユー」を設立し、4月に活動を開始。宇宙ビジネスと関わりが薄い企業などの参入を後押しする狙いがあり、東京・日本橋の拠点でのオフィスの利用や、宇宙関連イベントでのビジネスマッチングの場を提供する。

 約200の企業や団体、個人が特別会員に登録しており、担当者は「宇宙を活用する新規事業で、シナジー(相乗効果)を生み出したい企業などが入っている」と語った。

 また、清水建設は月面基地建設の研究開発に取り組み、トヨタ自動車などは月面探査車の開発を進めている。

 宇宙ビジネスには大手企業のみならず、スタートアップ(新興企業)の進出も相次いでいる。三菱総合研究所の内田敦主席研究員は「日本ではまだ国家の宇宙活動の一翼を担うレベルのスタートアップは出現していない。今後は、スタートアップと大手企業との連携・協業の拡大が一つのかぎとなるだろう」との見方を示した。(今仲信博)

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