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» 2023年09月14日 08時22分 公開

「電卓使うなと言っているようなもの」 Duolingo創業者、チャットGPTの学生利用懸念にもの申す

自動で文章や画像などを作る生成AIの「チャットGPT」は大学でも活用が広がる一方で、不正利用を警戒し、規制する学校も相次いでいる。

[産経新聞]
産経新聞

 自動で文章や画像などを作る生成AI(人工知能)の「チャットGPT」は大学でも活用が広がる一方で、不正利用を警戒し、規制する学校も相次いでいる。AIなどの先端ITを教育に活用する「EdTech(エドテック)」分野で、世界一のシェアを誇る語学学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」創業者兼CEOのルイス・フォン・アーン氏はチャットGPTについて、「受け入れざるを得ないもの」とし、大学側は利用を前提とした対応をする必要があると語った。

「Duolingo」創業者兼CEOのルイス・フォン・アーン氏=8月28日、東京都文京区

 ルイス氏は、チャットGPTの学生利用が懸念されていることについて、「チャットGPTの使用を止めること自体が、そもそもおかしい話だと思う。『電卓を使うな』と言っているようなもので、受け入れざるを得ない」と強調。電卓が登場した際は、「小学生が計算をせずに電卓でズルをする」との懸念があったが、現在では普及して適切に使いこなしていることから、同じような状況になるとし、不正利用などのマイナス面は一時的なもので、「世の中がAIに慣れる」と強調した。

 国内の大学ではAIの活用を模索する一方、リポートや論文での使用を禁止する動きもある。こうしたなか、文部科学省は今年7月に指針を発表。「使いこなす力を意識的に育てる姿勢が重要」と前向きな姿勢を示す一方、学習意欲への影響などが懸念されることなどから、「限定的な利用から始めることが適切」としている。

 ルイス氏は、学校側の対応として、学生がチャットGPTを使うことを前提とした上で、課題を出すことが重要だとし、「全てを自分の力だけで書くのを期待するのではなく、例えば口頭発表を増やすなど、課題の出し方を変えるべきだと思う」との見解を示した。

 Duolingoは、貧困層が多いグアテマラで生まれ育ったルイス氏が、経済や地理的格差に左右されず、語学を学ぶことができるように開発した教育アプリ。42言語を無料で学ぶことができ、1人1人に合ったレッスンの最適化やセキュリティーシステムなどにAIが活用されている。

 ルイス氏は、認証時に変形文字を入力したり、テーマに沿った画像を選択させたりするCAPTCHA(キャプチャ)認証の開発者でもある。ルイス氏は来日し、8月28日に東京大学で講演を行った後に産経新聞などの取材に応じた。(本江希望)

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