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» 2023年09月15日 08時02分 公開

マツダの象徴、ロータリーエンジン11年ぶり復活 発電機でPHV搭載

マツダが世界で初めて量産化に成功し、同社の“象徴”ともいえるロータリーエンジンは、一度は量産を終えたものの11年の時を経て発電機として復活する。

[産経新聞]
産経新聞

 マツダは14日、ロータリーエンジンを発電機として使用するプラグインハイブリッド車(PHV)「MAZDA MX−30 Rotary−EV」の国内での予約販売を開始した。マツダが世界で初めて量産化に成功し、同社の“象徴”ともいえるロータリーエンジンは、一度は量産を終えたものの11年の時を経て発電機として復活する。11月の販売を予定している。

 「われわれの歴史、スピリット、DNAそのものがロータリーエンジンへの挑戦。社員やたくさんの過去乗っていただいたお客さん、ファンの方もおそらく喜んでいただけるのではないか」。マツダの東堂一義執行役員は14日の説明会で、こう期待を寄せた。

 PHVは、モーターとエンジンで走る構造。開発された発電用のロータリーエンジンは、必要とされる出力性能を小さなスペースで実現した。PHVのMX−30はバッテリーのみで電気自動車(EV)として走行する場合は、満充電で走行距離107キロに対応。エンジンは、バッテリー不足時のほか、アクセルを踏み込んだ際などに電力を補い、長距離走行や加速性能の向上を実現する。また、外部への給電機能を備え、1500Wまで対応可能だ。

 ロータリーエンジンは、三角形状のローター(回転体)を回転させて動力を得る仕組みで、ピストンが上下に往復する一般的な「レシプロエンジン」とは構造が異なる。部品数も少なく、レシプロエンジンより重量を軽くできる特徴がある。

 今回、PHVに搭載される発電機用のロータリーエンジンは、一部の部品を鉄からアルミニウムに変更するなど従来のものより約15キロ軽量化させた。コンパクトになったことで、モータールームに高出力モーターなどと同軸上に配置でき、より広い室内空間を確保することとなった。

 PHVのMX−30は日本より先行して欧州で予約を開始していた。マツダによると、投入市場は日本と欧州のみを予定しており、日本国内での販売台数は月間300台を想定している。希望小売価格は423万5千円(税込み)から。

 ロータリーエンジンはマツダが昭和42年に量産化に成功。同年にスポーツカー「コスモスポーツ」を発売して以降、「RX―7」などロータリーエンジンを搭載した車を世に送り出してきた。1991(平成3)年には自動車耐久レースのルマン24時間で搭載車が総合優勝を果たした。

 しかし、海外の排出ガス規制が強化され、規制への対応には大幅な開発コストがかかることから、平成24年に量産を終了。量産は終えたものの、補修用としての生産は続け、新たな活用方法を模索してきた。

 ロータリーエンジンの復活について、マツダ商品本部の上藤和佳子主査は「マツダの歴史において、あくなき挑戦を象徴する技術。電動化の時代に発電機という形で再び火がともった」と強調した。動力源としてのロータリーエンジン復活を求める声も寄せられており、小島岳二専務執行役員は「しっかり収益を上げられる状態になったら、動力源として使うことも考えていきたい」と語った。

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