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» 2023年09月26日 08時21分 公開

水素活用の商用化へ動き加速 三菱重工、川崎重工、トヨタ……

利用時に二酸化炭素を排出しないエネルギーとして注目される水素を巡っては国内企業も、商用化に向けた動きを加速させている。

[産経新聞]
産経新聞

 経済産業省が脱炭素関連の国際会議を集中的に行う「東京GXウィーク」の初日に当たる25日、有望な次世代エネルギーとされる水素の活用と普及拡大に向けた議論が行われた。利用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないエネルギーとして注目される水素を巡っては国内企業も、商用化に向けた動きを加速させている。

水素の製造から発電までの技術を一貫して検証できる「高砂水素パーク」(三菱重工業提供)

 三菱重工業は20日、兵庫県高砂市で整備を進めてきた水素の製造から発電までを一貫して検証できる施設「高砂水素パーク」が本格稼働したと発表した。

 施設内は水素の製造・貯蔵・利用の機能を持つエリアに分かれており、製造エリアには世界最大級の水素製造能力を持つノルウェーのハイドロジェンプロ社製のアルカリ水電解装置を設置。製造された水素は貯蔵エリアに送られる。

 三菱重工は水素ガスタービンの早期商用化を目指しており、利用エリアでの実証実験を重ねていく。

 川崎重工業は6月、2020年代半ばの実用化を計画している大型液化水素運搬船用の貨物タンクの技術開発が完了したと発表。水素の海上輸送にはマイナス253℃に冷却し、体積を気体の800分の1とした液化水素を安定して保冷する必要がある。そのため、同社は外部からの侵入熱を低減できる球形状で、内外2層構造による断熱などの新構造を開発した。

 モビリティー(乗り物)の分野でも水素の活用に向けた動きは広がっており、トヨタ自動車は7月、市販化に向けテストを重ねている液体水素エンジン車の開発状況を公表した。5月のレース世界初完走から2カ月で燃料ポンプの耐久性は3割向上した。ただ、市場投入の時期を示せる段階にはまだないという。

 また、カワサキモータースやスズキなど二輪メーカー4社は5月、バイクなどに搭載する水素エンジンの共同研究を行うと発表。燃焼が不安定になりやすい水素エンジンの実用化には課題もあり、競合他社が連携することで早期実用化を目指すとしている。(今仲信博)

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