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» 2023年09月27日 07時49分 公開

りそな銀行・岩永省一社長 年金受託残高「10年後に10兆円へ」トップに聞く

差別化できるのは広域地域金融機関の信託銀行として多機能なサービスを提供できる点だ。

[産経新聞]
産経新聞

――低金利下で、3メガバンクや「第4のメガバンク」構想を掲げるSBIホールディングスなどとの競争が激しい

 「当行が差別化できるのは広域地域金融機関の信託銀行として多機能なサービスを提供できる点だ。個人向けまで展開できる。中小企業を中心にグループで6万8千社のメインバンクとなっているのも強みで、事業承継を目的としたM&A(企業の合併・買収)や不動産のビジネスを伸ばしたい」

インタビューに応じるりそな銀行の岩永省一社長=東京都江東区(黄金崎元撮影)

――中小企業は人手不足が課題となっている

 「雇用維持が重要な課題で福利厚生の強化が不可欠になっている。中でも政府が資産所得倍増を掲げていることもあり、(社員が運用する)確定拠出年金(DC)の需要がさらに高まる可能性がある。導入支援に向け、企業年金の営業人員を令和7年3月末までに2倍の約200人に増やす。年金信託受託残高も現在の5.6兆円から10兆円を目指す」

――新型コロナウイルス禍で中小企業の資金繰りを支えた「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」の返済が正念場だ

 「できる限り資金支援はしたい。お金だけでなく、再成長に向けた支援もする。ゼロゼロ融資を終え、事業承継を考える中小も出てくる。社内の事業承継とM&Aのチームを統合し、200人体制で対応する」

――日本銀行が金融政策を修正し、金利の上昇が期待されている

 「金利の正常化について話すのは早計だが、備えは必要だ。預貸金でバランスシートを大きくして機動的に動ける形にしなければならない。預金を積み上げるためには、店舗戦略を含め顧客接点が重要になる。そこを起点にさまざまなサービスを提供していく。それ以外にも金利の変動に左右されない安定的な基盤の構築も大事だと考えている」

――大手行が固定型の住宅ローン金利を相次いで引き上げている

 「厳しい競争環境の中で、使い勝手がいい条件の設定が必要だと思う。われわれも状況を見ながら判断したい」(黄金崎元)


いわなが・しょういち 明大卒。平成元年、大和銀行(現りそな銀行)入行。29年りそなホールディングス執行役、30年取締役代表執行役。令和2年から現職。58歳。東京都出身。

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