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» 2023年10月02日 08時53分 公開

アズワン、「物流代行」サービスを来年1月開始へ

トラック運転手の残業規制強化によって深刻な人手不足が懸念されている「2024年問題」に対し、商社の物流網を生かして新興企業などの事業を支援したい考えだ。

[産経新聞]
産経新聞

 理化学機器卸最大手、アズワンの井内卓嗣社長が産経新聞社のインタビューに応じ、「わが社の物流網をベンチャー企業などに活用してもらう『物流代行』のサービスを来年1月に始め、拡大していきたい」との方針を示した。トラック運転手の残業規制強化によって深刻な人手不足が懸念されている「2024年問題」に対し、商社の物流網を生かして新興企業などの事業を支援したい考えだ。

産経新聞社の取材に応じるアズワンの井内卓嗣社長=大阪市西区

 アズワンは研究用機器や医療用品を販売する専門商社で、令和5年3月期に売上高は12期連続、最終利益は11期連続で過去最高を更新するなど成長を続けている。原動力となっているのは、業界全体の利便性を追求したサービスの提供だ。

 同社は平成27年からインターネット通販(EC)を拡大しているが、目的は売り上げ拡大だけでなく「研究者が機器や消耗品の在庫や納期を一覧で確認できるデータベースを作りたかった」と井内氏は話す。研究に欠かせない消耗品の管理や発注は研究者の負担になっており、商品を網羅したECサイトがあれば研究の効率化にもつながると考えた。現在、同社のサイトが扱う商品数は1千万点を超えている。

 高額な研究機器のレンタルサービスも始めた。数千万円する機器は簡単に予算がつかず研究が滞ることもあり、井内氏は「研究者を支援することが日本の国際競争力強化になる」と力を込める。

 物流代行サービスは、三井不動産が展開するレンタルラボにアズワンが併設する研究用品の販売店で始める。「ECサイトのデータベースも物流網も共有インフラとすることで業界全体の発展につなげたい」と井内氏。研究者や業界の利便性向上を目指す姿勢が業績を拡大する好循環となっている。(桑島浩任)

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