観光客増加による交通渋滞の緩和策として、鎌倉市は11月、渋滞の一因となる駐車場待ちの車を減らすために駐車場の一部を事前予約制にする実証実験を実施する。秋の観光シーズンを迎えるが、県内の観光地ではスムーズな移動を実現することで観光の満足度と経済効果の向上を目指す取り組みが進んでいる。
鎌倉市の観光客数は新型コロナウイルスで落ち込んだものの、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の効果もあって令和4年はコロナ禍前(元年)の6割程度の約1195万人にまで回復。それに伴い顕在化したのが、円覚寺、建長寺、明月院など古刹(こさつ)が並ぶ北鎌倉エリアから鶴岡八幡宮に向かう県道の混雑だ。
鎌倉市の実証実験は11月4日〜12日までで、北鎌倉駅と鎌倉駅の周辺にある5カ所の駐車場で、計38台分を事前予約制にする。10月22日に専用ホームページを開設し、申し込みを受け付ける。クレジットカードで決済し、終日駐車できる。
駐車場を予約制にすることで、駐車場の空きを待つ車が道をふさぐのを防ぐ。駐車場の利用者には、シェアサイクルやバスなどの公共交通機関を利用する「パーク&ライド」を案内し、人流の変化などの効果を検証する。「新しい道をつくることができるわけでもなく、観光客に行動を変えてもらうしか手がない」(都市計画課)と話す。
藤沢市では江の島に行き来する車によって生じる江の島大橋付近の渋滞が課題となっている。市は昨年7月に観光事業者、関連団体と「湘南藤沢活性化コンソーシアム」を設立し、付近の主要な駅と江の島を結ぶシャトルバスの運行実証などを重ねている。
江の島で展望灯台が人気の市立の植物園「江の島サムエル・コッキング苑」では11月から翌年2月までライトアップイベント「湘南の宝石」が開催され、恋人や家族連れでにぎわう。通常は入場無料だが、イベント期間中の夜間のみを有料にすることで「混雑を均一化したい」(観光課)としている。(高木克聡)
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