ソニーグループとホンダが折半出資する電気自動車(EV)事業会社、ソニー・ホンダモビリティの川西泉社長は22日までに産経新聞などのインタビューに応じ、ITと車の融合で先行しているとされる中国EVメーカーについて、開発のスピードの速さを「勢いがある」と評価する一方、IT利用は「スマートフォンのアイコンを並べているだけという感じだ」と述べ、技術的な驚きはないとの見方を示した。
EVの車内ディスプレーなどでさまざまな情報や娯楽を提供するITシステムについて、出身のソニーでスマホ事業を手掛けた川西氏は「音楽を聴いたり、動画を見たりするサービスはスマホでやれている世界。ベースとしてはいいが、それを車の中でやっても新規性はない」と指摘した。
その上で、同社が開発中のEV「AFEELA(アフィーラ)」ではモビリティー(移動手段)ならではのエンターテインメントの提供を目指すことを意識しているとし、「車の制御に密接する部分であればあるほど慎重にやらなければいけないが、例えば走行モードといった車の乗り味をさまざまに変えられるようにすることも1つのエンターテインメントだ」とした。
また、EV開発ではソフトの更新で機能を追加する車づくりが主流になることを踏まえ、「(ソニーの家庭用ゲーム機)プレイステーションもそうだが、最初から性能の高いモノを導入しておくことはとても重要で、コストありきで安いハードウエアにしてしまうと(ソフトで)やりたいことができない。それは進化しないということだ」と強調。アフィーラは何年か先までの機能の拡張性を確保できる高性能化を開発の基本とする考えを示した。
アフィーラはホンダの北米工場で生産し、2025年前半から先行受注を開始する。調達する車載電池の仕様によっては、バイデン米政権によるEV購入の税制優遇対象となるが、この点は「ホンダの戦略に沿う形でアフィーラは作られる。当然考えているとは思う」と述べるにとどめた。
ソニー・ホンダモビリティは東京ビッグサイト(東京都江東区)で26日開幕する「ジャパンモビリティショー2023」にアフィーラの試作車を出展し、今後は車両の開発環境を外部に開示する。川西氏は「草の根的に技術先行で興味を持っている人とムーブメントを起こしていくことがソフトの開発トレンドを考えても自然だ」とし、外部との開発連携に意欲を示した。(池田昇)
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