モーター大手のニデック(旧日本電産)は24日、電気自動車(EV)向けのモーターシステム「イーアクスル」の販売について、中国中心から欧米や日本にも製品を展開する方針に転換すると明らかにした。中国ではEVの価格競争が起きているが、永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は「中国市場で競争している会社は赤字を垂れ流してやっている。(製品の)価値を認めてもらえない競争はやるべきじゃない」と発言。高い利益を確保できる顧客に絞って事業を展開するとした。
ニデックはイーアクスルの成長を起爆剤として、令和7年度に車載事業全体の売上高を現在の約2倍の1兆円に拡大することを目標としている。そのため、EV市場が飛躍的に拡大している中国に軸足を置き、赤字となってもシェア拡大を優先してきた。
ところが、今年に入りEV大手のテスラや比亜迪(BYD)による価格競争が激化。1千万円台の高価格帯のモデルを短期間で100万〜200万円値下げするなどしている。23日の決算会見で佐村彰宣最高財務責任者(CFO)は「高級車の値引きが、われわれのターゲットである中級車にも影響している」と説明していた。
永守会長によると、中国のEVメーカーは、イーアクスルの部品について「(安い)中国製を使っていいというので切り替える。一方で、日本や欧米メーカーは違うので、その代わりに(イーアクスルの)価格が高くなる」と述べ、地域ごとに健全な利益を上げられる態勢を構築すると強調。利益につながらない受注は制限するなど、これまでの拡大方針からは大きく転換することになる。
これに伴い、イーアクスルは今年度の出荷台数目標を44.8万台から28万台に変更、イーアスクル単体の営業利益は、通期で黒字化の見通しから150億円の赤字となる。このうち100億円超が、小型車向けのラインアップ拡充や第3世代のイーアクスルを予定より早く来年6月に投入するための追加投資という。
また、永守会長は「特定の国に依存しているとみられると問題だ」と話し、家電・商業・産業用モーターの分野でインドに大型投資を行い工場を建設するほか、一部生産の国内回帰などリスク分散を図る方針も示した。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上