光を当ててがん細胞だけを壊し、抗がん剤や手術などに次ぐ「第5のがん治療法」として注目される「光免疫療法」を巡り、関西医科大と島津製作所は15日、光に反応する色素を用いた新たな臨床研究を始めると明らかにした。
光を当ててがん細胞だけを壊し、抗がん剤や手術などに次ぐ「第5のがん治療法」として注目される「光免疫療法」を巡り、関西医科大と島津製作所は15日、光に反応する色素を用いた新たな臨床研究を始めると明らかにした。色素の特性を活用して腫瘍の位置を画像診断で正確に特定することで、「治療漏れ」を防ぐことが期待できるという。こうした臨床研究は世界初としている。
光免疫療法では、がん細胞に結合する抗体と、光に反応する色素「IR700」を組み合わせた薬剤を患者に投与。人体に無害の近赤外光レーザーを約5分間照射するなどすれば、がん細胞に結合したIR700が反応して破壊される。従来は目視などで腫瘍を確認した上で、赤外光レーザーを照射していた。
ただ、光免疫療法の開発者で関西医大付属光免疫医学研究所の小林久隆所長は「腫瘍をピンポイントで狙えるかが治療の肝だが、照射漏れの部分からがんが再発するという課題があった」と指摘する。そこで、光を当てると赤く発光するIR700の性質に着目。抗体と混ぜた薬剤を投与後に島津製作所製の専用カメラで患部を撮影し、腫瘍の位置を画像で正確に把握した上でレーザーを当てる手法を考案した。
臨床研究は令和9年9月まで、がん患者5人を対象に実施。レーザー照射の前後に患者の尿や血液を採取し、島津製の分析機器で薬剤の残存量などを調べて治療の効果を確認していく。
小林氏は「がんを取りこぼさないように、光免疫療法の技術を発展させたい。最終的には(画像診断やレーザー照射など)治療全体の自動化を図りたい」としている。
光免疫療法に使われる抗体は、他の治療法と違って毒性がなく、副作用といった患者の負担が少ない。最大4回までは公的保険の対象で、所得などに応じて患者の自己負担額に上限を設ける「高額療養費制度」を使えば、月数万〜数十万円で利用できるという。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授