調査始まった偽基地局 車両で移動してターゲット探しか 携帯の個人情報狙う手口巧妙化

総務省などが偽基地局による通信妨害を確認し、調査を開始した。偽基地局とは、通常の基地局と同じように電波を発信し、携帯電話やスマートフォンを誤って接続させる仕組み。

» 2025年04月17日 08時53分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 総務省などが偽基地局による携帯電話への通信妨害を確認し、調査を開始した。偽基地局は、通常の基地局と同じように電波を発信し、携帯電話やスマートフォンを誤って接続させる仕組みだ。誤って接続すると、不審なSMS(ショートメッセージサービス)などが送りつけられるほか、通信内容や個人情報が盗み見られたり、位置情報などが特定されたりする危険性もある。SNSでは、車載型の通信機器を搭載した偽基地局とみられる車両が確認されている。

スマートフォンを使用する人のイメージ=東京都渋谷区(岩崎叶汰撮影)

 SNSに投稿された事例では、契約している携帯電話の回線が圏外になり、国内では商用利用されていない第2世代(2G)移動通信システムに切り替わった後に不審なメッセージが送られたという。

 メッセージは、中国語で「海外でのカード決済機能が停止されたため、URLにアクセスするように」という内容だった。URLをクリックすると個人情報が漏洩する「フィッシング詐欺」とみられる。

 偽基地局の電波は届く範囲が限られるため、特定の場所にいる人々を標的にしているとみられる。具体的には、インバウンド(訪日客)が多い繁華街を車両で移動しながら、クレジットカード情報を盗み取るのが目的との見方が強い。

 詐欺メールを送りつけられるだけで終わらない懸念がある。携帯電話と基地局は互いに電波を出しており、音声や画像データを変換した電気信号を電波に乗せて送信する。このため、誤って偽基地局に接続してしまうと、通信内容が流出したり、位置情報が特定されたりする危険がある。

 過去には類似の手口として、パスワード入力が不要のWi-Fiルーターを設置し、接続した携帯電話の情報や通信内容を盗み見るというケースなどがあった。海外では数年前から、偽基地局が問題視されており、日本でも事例が確認されたことは、個人情報を狙う手口がさらに巧妙化していることを示している。(高木克聡)

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