人工知能(AI)の急速な進化に伴って需要が急拡大するデータセンターなど関連事業の意志決定を迅速化し、海外での存在感を高める。
NTTは8日、NTTデータグループ(G)を完全子会社化すると発表した。人工知能(AI)の急速な進化に伴って需要が急拡大するデータセンターなど関連事業の意思決定を迅速化し、海外での存在感を高める。海外に事業を展開し、データセンターやITサービスで強みを持つデータGを取り込むことで、民営化に伴う分割前の「大NTT」が復活する。
「成長を考えると、グローバルビジネスが中心になってくる。NTTデータがNTTグループの真正面に立ってもらう必要がある」
NTTの島田社長はデータGの完全子会社化の狙いについて、こう説明した。
NTTはデータG株の約58%を保有しており、残りの約42%を1株4000円で公開買い付け(TOB)する。買い付け期間は9日から6月19日までで、総額2兆3712億円を見込む。
NTTは、完全子会社化に伴い、データGとの親子上場を解消する。利益相反の懸念で意思決定が鈍ることを避け、データGが中心となって海外事業を担う体制を構築する。一方、データGは、NTTの資金力を生かし、顧客の需要拡大に合わせたデータセンターの増強など、設備投資を機動的に実行する。市場が急拡大する北米を中心にNTTグループで相乗効果を発揮し、AIを活用したサービスも強化する。
NTTは2022年、グループで分散していた海外事業をデータGに集約する形で再編していた。島田社長は「再編によって資本関係が複雑化した。それぞれの株主の考えを一致させる議論も必要でスピード感が遅くなってしまうことが課題だった」と説明した。データGの佐々木裕社長は「データセンターの投資が拡大し、財務健全性が悪化していた」と振り返り、「大きな船に乗る」と完全子会社化に応じた理由を話した。
NTTは澤田純会長が社長に就任した18年から再編を加速させてきた。澤田氏は「強いNTT」を掲げ、約4兆円をかけたNTTドコモの完全子会社化などを断行した。
データGは1988年、データ通信事業を分割して設立された経緯があるだけに、大NTTの復活に国内の競合他社からは反発の声が予想される。
ソフトバンクの宮川潤一社長は8日の決算会見で「海外に出るときにNTTデータのプラットフォームは非常に魅力的。私どもも協業を打診していた」と明かした。宮川氏は「NTTデータやNTT東西がNTTグループのためだけに、ということにならないよう、公正競争だけは確保していただきたい」と釘を刺した。(高木克聡)
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