自動車大手7社、トランプ関税打撃で計2.7兆円減益要因に 米国生産への切り替えも

トランプ米政権が4月3日に輸入車への25%の追加関税を発動してから1カ月余り。部品を含む関税政策全般を踏まえ、トヨタ自動車など国内自動車大手7社が14日までに明らかにした2026年3月期の本業の利益の押し下げ影響の試算額は合計2.7兆円規模に上り、打撃の大きさが浮き彫りとなった。

» 2025年05月15日 09時05分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 トランプ米政権が4月3日に輸入車への25%の追加関税を発動してから1カ月余り。部品を含む関税政策全般を踏まえ、トヨタ自動車など国内自動車大手7社が14日までに明らかにした2026年3月期の本業の利益の押し下げ影響の試算額は合計2.7兆円規模に上り、打撃の大きさが浮き彫りとなった。

 トランプ関税について、SUBARU(スバル)の大崎篤社長は14日の決算会見で、何も対策を講じなかった場合の最悪の見積もりとして、連結営業利益へのマイナス影響を25億ドル(約3600億円)と説明した。

 各社で業績に織り込む前提は異なるが、影響額が最も大きいのはトヨタだ。同社は4〜5月分だけで1800億円としており、単純計算すると通期では1兆円を超える。ホンダは6500億円、日産自動車は4500億円、三菱自動車は400億円(いずれも通期の影響)。マツダは4月分で100億円程度という。

 米国で四輪を販売していないスズキも、二輪の輸出や景気への下押しなどのリスクで400億円の減益影響を想定した。

 一方、米国外からの輸出車種の一部を現地生産に切り替えるなど各社は対策も講じており、影響額に対してホンダは通期で2千億円、日産は4〜6月期にまず約3割の軽減を見込む。日米政府の関税協議で、自動車への追加関税の税率が25%から変わる可能性もあり、各社は実際の影響が想定を下回ると期待する。

 ただ、トランプ大統領は、車の低関税輸入枠で合意した英国との関税交渉で、他国と「同じ取引はしない」と強調。自動車関税の妥協には否定的な姿勢もみせており、日米協議が打撃を緩和できるかは予断を許さない。

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