南海電鉄の登場である。待てよ、南海の車内にマナーポスターがつってあったやろか?
南海電鉄の登場である。待てよ、南海の車内にマナーポスターがつってあったやろか? 同社広報部課長補佐の小田明紀さん(49)によると「ウチ独自のポスターはあまり作っていません」という。もちろん何もしていないわけではない。年間航空旅客数約3千万人と日本を代表する国際ターミナル、関西国際空港に乗り入れる路線として《南海電鉄だからやれること》をしっかりと果たしていたのである。
南海電鉄は、もちろんマナーポスターを一枚も掲出していないわけではない。鉄道各社が加盟する「日本民営鉄道協会(民鉄協)」や「関西鉄道協会(関鉄協)」が共同で毎年作っているマナーポスターはちゃんと掲出している。
南海電鉄の最大の特徴は、外国人旅行者に向けたマナー啓発活動だ。例えば、大きなトランクやキャリーバッグを持ってエスカレーターに乗ろうとする旅行客への注意喚起。
「コロナ禍後、令和5年8月ごろから徐々にインバウンドのお客さまが増えてきました。ですがその分、エスカレーターでの荷物落下などの事故も多くなって……。これまで関西空港駅のアナウンスで呼びかけていたのですが、ポスターも作って注意を呼びかけるようにしたんです」と小田さん。
ポスターはすべて日本語、英語、韓国語、中国語で表記されている。お国柄によって習慣もマナーも違う。外国人旅行客に日本のマナーを押し付けるのではなく《○○すると危ないですよ。だから○○してください》―というお願いに近い。
そのほか関空と大阪・難波を結ぶ特急ラピートでは今年3月から「スーツケース、キャリーバッグの置き場所」や「正しい座席の座り方」を写真で紹介したチラシを座席のポケットに収納している。小田さんはいう。
「毎年、多くの外国人観光客の方が来られます。そうした方々へ呼びかけをするのは、関西国際空港への路線を持つ南海電鉄の《使命》だと思っています」。
さすが、さすが!
南海電鉄は「学校法人大阪創都学園 大阪アニメーションカレッジ専門学校」(大阪府吹田市)の学生らと、令和3年からマナー啓発のアニメを作っている。タイトルは『さちとの約束』と『南海電車、カイくんの大冒険!』。
さちとの約束は、南海電鉄の若手女性運転士、中松江幸(なかまつえ・さち)の奮闘物語。中松江は、和歌山市内の南海加太線にある駅の名だ。主人公、幸は和歌山市加太出身で、地元の高校を卒業し南海電鉄に入社。子供のころから慣れ親しんでいた加太線の運転士になった―という設定だ。
第1話「無理な踏切横断編」、第2話「踏切非常ボタン編」、第3話「歩きスマホ編」があり、それぞれ約30秒の作品に仕上がっている。
「カイくん」は中松江幸の弟。和歌山の自宅から大阪・難波に住む祖父を南海電鉄で訪ねた際の出来事から、車内マナーを学んでいく約5分の物語だ。中松江幸の声は声優の中島由貴さんが務め、カイくんの声は大阪アニメーションカレッジ専門学校の学生が担当した。南海電鉄のホームページで公開している。
昨年1月、沿線の小学生らに向け「南海電車の鉄道学校」と題した学校への出張授業を行った。講師は、駅長ではなく運転士が務めた。これは珍しい。さらに昨年3月には日本で働く外国人を対象とした「マナー講習・交流会」を開催。鉄道マナーや、切符自動販売機での切符の買い方などを伝えた。(田所龍一)
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