滑走路の新設など機能強化を進める中、今後直面する深刻な人手不足などにどう対応し、日本の空の玄関口の役割を果たしていくのか。
成田国際空港会社(NAA)の社長に6月20日付で就任した元国土交通事務次官の藤井直樹氏(64)が7月29日、産経新聞のインタビューに応じた。滑走路の新設など機能強化を進める中、今後直面する深刻な人手不足などにどう対応し、日本の空の玄関口の役割を果たしていくのか。主な一問一答は以下の通り。(聞き手 松崎翼)
――強化したい路線は
「成田はアジアと北米の間に位置する空港で、そこを結ぶ路線の需要が将来一番伸びると見込まれている。例えばインドはかなり人口が多い。経済発展の中で、ビジネスで海外に出る人や、観光客が増えることが予想され、余地がある」
――成田空港の国際競争力の強化に向けて、重視するポイントは
「まずはインバウンド需要にしっかり対応できるようにする。また、成田は貨物の取り扱い量が日本一の空港だ。これまで以上にDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、競争力のある空港を目指す」
――アクセス面の利便性向上が課題といわれる
「首都圏とのアクセスがスムーズでないと、空港として機能しない。空港近くの線路が単線になっているなどの問題も残っている。アクセスは非常に大事なファクターで、鉄道会社としっかり課題を共有し、一緒に考えることが必要だ」
――バスで成田にアクセスする人も多い
「高速道路ネットワークは非常に大事な交通手段の一つだ。圏央道の整備も進んでおり、バスのネットワークの充実にも取り組みたい」
――人手不足が深刻。どう向き合うか
「従業員は今4万人程度だが、機能強化で7万人規模が必要になる。働く環境をいかに良くするかが大事。食事をゆっくりとって休めるようなスペースを設ける必要がある。あとは住居の確保も重要だ。地域と問題意識を共有しながら取り組み、人を確保していく」
――外国人の活用は欠かせないが、共生の面での課題は
「社会全体がこれから向き合っていく話だが、空港サイドとしては、まず働く環境をしっかりつくる。労働環境に対する不満が一つのトラブルの原因になる。当然外国人は言葉の問題もあり、技能を身につけてもらうためにどうやって日本語を学んでもらうかの工夫も求められる。技能を身につけ、仕事に愛着と誇りを持って生活するその先に、地元との関係も良好になり、共生できるようになる」
――羽田空港というライバルがいる中で、成田空港の存在感をどう高めていくか
「羽田空港の発着枠の拡大は簡単ではないという見通しのもと、羽田にはない国際線ネットワークはもちろん、LCCも含め国内線の拡大も図りたい」
――機能強化を地元自治体とどう進める
「空港の機能強化は地域の発展のためになる。地域と意見を交わしながらしっかり形にし、経済効果を生み出す。今後、機能強化に向けた街づくりも含め、皆さんと相談していきたい」
――機能強化に反対する地元住民もいる
「機能強化の工事に必要な用地の83%を確保したが、同意していただけない人もいる。丁寧に説明した上で、理解してもらうことが重要だ」
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