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脱ブラウザで素晴らしいユーザー体験を――ガラパゴスの終焉を迎えた企業アプリの行方:リッチ化で新ビジネス誕生?(2/2 ページ)
いまやコンシューマー向けのWebは、UXを優先したデザインや使いやすさが求められている。アドビはこうした流れが企業アプリケーションにも到来するという。
今後、既存サービスをクライアントサイドで統合できる「クライアントサイドSOA統合」が起こり、Webアプリケーションと同等の開発コスト、最短の開発期間でサービスをユーザーに届けることができるようになる。それを加速するのがAIRだという。
AIRを利用した例では、デザインのよさとWeb2.0的サービスで人気が高い「ファインチューン」がある。ファインチューンは無料音楽配信とコミュニティーサービスを合わせたもので、200万曲以上のライブラリーの中からセレクトした曲で作成したプレイリストを公開できる。それらは、だれでも聴くことができるようになっている。全体的にAjaxを用い、楽曲再生プレーヤー部をFlashで作成し、デスクトップに常駐させることにより、ブラウザの有無に関係なく、Webサービスやローカルのデータ(例えばiTunesなど)に直接アクセスできるようにしたアプリケーションとしてまとめられている。
異なるアプローチで進んできたマイクロソフト(参照記事)とアドビは、ともにリッチなユーザー体験を創出することを軸とし、同じ目的地に向かって進んでいる。その肥沃な大地に今後どんなビジネスが芽生えるのか。非常に興味深いところである。
(「月刊アイティセレクト」2007年11月号の「トレンドフォーカス 新ビジネスは生まれるか ビジュアルリッチが進むWebアプリケーション2大手の戦略を追う」より)
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Adobe Systems(アドビシステムズ) | ブラウザ | Microsoft(マイクロソフト) | Webアプリケーション | Adobe AIR(Apollo) | Silverlight | Flash
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