連載
景気拡張は過去最長へ、プロ野球人気球団の好調も下支えに?!:景気探検(3/3 ページ)
景気はもたつき局面を緩やかな拡大を続けている。景気拡張期間は67カ月となり、日清戦争好況の64カ月の最長記録を抜いて新記録を更新している。
リーグ優勝は巨人と日本ハムとなったが、今年は上位3球団によるクライマックスシリーズが初めてセ・パ両リーグ共に行われる。人気球団が多く出場するため、プレーオフではプロ野球は盛り上がりを見せる可能性が高いだろう。巨人やソフトバンクといった人気球団が日本一になれば、心理面から不振の個人消費を下支えする援軍になる可能性があるだろう。
サブプライムローン問題への懸念から一部には米国経済の先行きを心配する向きもあるが、米国経済全体でみると、焦げ付き問題がもたらす直接的影響が景気を後退させる可能性は低いだろう。住宅部門の悪化が個人消費全体を失速させる可能性は小さいと考えたい。製造業の在庫調整がほぼ終了し生産が持ち直し局面に入るとみられる。
また、米国では来年は4年に一度の大統領選挙の年だが、ニクソン大統領以降を見てみると共和党の大統領の場合、その前年にFFレートが低下している。そして金融緩和効果もあって大統領選挙の年の経済成長率はしっかりしたものになる傾向がある。今年も結果としてFFレート低下など、この線に沿って動いており、ジンクスは米国景気の先行きに安心感を与えてくれる。
たくもり・あきよし
「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。
Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サブプライム問題を乗り越え、欽ちゃん走りが先行きを明るく?
米サブプライムローン問題による懸念から、消費者マインドの先行きが気になるところだが、身近な社会現象からは先行きの持ち直しの兆しもうかがわれる。 - ヤンキース奇跡の大逆転が日本の景気を左右する!?
景気は今年に入ってすっきりしない状況が続いてきた。しかし、今後も緩やかな拡大を続けていきそうだ。そして、人気球団ヤンキースの動向が注目される。 - ラニーニャ発生で消費はどうなる?――天候と景気の不思議な相関関係
日銀短観の内容は、発表時の日銀がある日本橋本石町の天気と相関性が高いようだ。また、ラニーニャ現象の発生は景気にどう影響するのか? - 日銀の第3次利上げ時期を占う――選挙と金融政策の関係
4月の景気動向指数データは、年が明けてからのもたつき局面をそろそろ脱出することが示唆されている。そうした中、日銀の第3次利上げが注目されている。 - ホームレスの実態から見る景気の回復具合は?
厚生省が集計した「ホームレスの実態に関する全国調査」によると、全国のホームレスは今年1月時点で1万8564人だった。この調査から見えてくる景気の動向とは? - 「ハケンの品格」で占う――強い女性ドラマがヒットすると景気は?
IT関連の在庫調整や米国経済の減速の影響で製造業中心にもたつき感はあるが、個人消費の推移などから、景気の底堅さを示唆するものも多い。身近なデータからも景気の流れを追ってみよう。