SAPユーザー企業のトップが宮崎に集結、東国原知事もPRに駆けつける:SAPPHIRE '07 Miyazakiレポート(1/2 ページ)
「SAPPHIRE '07 Miyazaki」が10月29日、宮崎のシーガイアで開幕した。招待者限定で800人を超えるユーザーを集め、貸し切ったシーガイアも顧客企業のシニア層で週末からごった返している。
「ホテルの窓から美しい日の出を見ることができた」── 設立から15周年を迎えたSAPジャパンのロバート・エンスリン会長は、日本を代表する企業の経営者や情報システム部門の責任者を前に、こう切り出した。
SAPのユーザーカンファレンス、「SAPPHIRE '07 Miyazaki」が10月29日、宮崎のシーガイアで開幕した。リゾート滞在型のITカンファレンスは海外では広く行われているが、国内での開催は稀だ。招待者限定で800人を超えるユーザーを集め、貸し切ったシーガイアも顧客企業のシニア層で週末からごった返している。
SAPのユーザー会であるJSUG(Japan SAP Users' Group)カンファレンスも併催され、午前のオープニングセッションでは、米州とアジア太平洋地域、および日本を統括するビル・マクダーモット社長が登場し、ユーザーの知識やノウハウの水準を引き上げるとともに、フィードバックを得られるユーザー会の大切さを強調した。
「ユーザー会の活動にも積極的にかかわり、日本、そしてみなさんの企業の国際競争力を高めていく、価値創造のパートナーとなりたい」とマクダーモット氏。米州のASUG(Americas' SAP User's Group)では、680社が63の部会や研究会で活動し、昨年はSAPの120以上のソリューション改善に貢献したという。
JSUG × SAP = 健全な緊張関係
午前のセッションでは、「経営に貢献するIT」をテーマにパネルディスカッションも行われた。
JSUGの会長を務める三菱商事のCIO補佐、都築正行理事は、「ERPによって情報処理に掛かるコストの削減や見える化は実現できたが、BPR(Business Process Re-engineering)は不十分なままだし、SAPの機能をフルに活用できていない」と、目下の課題を口にした。
同社は、'90年代半ばから10年以上の歳月を費やしてSAP ERPのグローバル展開を終えたばかり。「SAPは、日本企業の要望をきちんと受け止め、機能の改善を継続してほしい」と注文も付けた。
ユーザーとともにステージに上がったSAPジャパンの八剱洋一郎社長は、「コンピュータの歴史は、汎用化、共通化の歴史。SAPは、部品の汎用化、共通化をソフトウェア分野でチャレンジしている。これが実現できれば、顧客のビジネスのスピード感でイノベーションを実現できるはずだ」と話す。ちなみに「Business at the speed of change」は、今年のSAPPHIREカンファレンスのテーマでもある。
SOA(Service-Oriented Architecture)というと、とかく、アプリケーションの部品化に議論が偏りがちだが、都築氏は、「わりきり」と「こだわり」の重要性を説く。SAPジャパンでパートナー施策とマーケティングを統括する安田誠シニアバイスプレジデントも、「ビジネスでは人事や会計のように、どの業種や企業でも変わらない部分がある。また、部品を組み合わせて構築できる部分もある。SAPであれば、これらを基盤に、自社を差別化する“こだわり"のビジネスプロセスを載せていくことができる」と話す。
パネルディスカッションには、向こう3年間でSAP ERPのグローバル展開を計画している日本特殊陶業の安部親礼専務や、中堅企業ながらビッグバンで基幹業務にSAP ERPを導入したオタフクソースの佐々木直義常務も登壇した。
「お好みソース」でお馴染みのオタフクソースは、広島市に本社を置く売り上げ約200億円の中堅企業だ。顧客のニーズに応えるため、さまざまな商品を開発し、アイテム数は2000に達している。
「たくさんの商品を作り過ぎた。どの商品が利益を生み出しているのか把握できていなかったが、SAP ERPの導入で原価管理や収益管理が見える化できた。増収増益はSAP ERPのおかげだ」と佐々木氏。
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