「イノベーションをもっと簡単に」とSAPのカガーマンCEO:SAPPHIRE '07 Miyazakiレポート(2/2 ページ)
「SAPPHIRE '07 Miyazaki」が10月29日、宮崎のシーガイアで開幕し、お昼過ぎに始まった基調講演には、SAPのカガーマンCEOと「オンリーワン経営」で知られるシャープの町田勝彦会長が登場した。
すべてのSAP製品は同じビジネス言語を喋る
Business Networkと、その変化は、大企業ばかりに求められるものではない。
「サプライヤーやパートナーとして、中小規模の事業所も影響を受けるし、むしろBusiness Networkの中でキープレーヤーとなる機会もある」とカガーマン氏。
SAPは、従業員2500人以上の大企業にはSAP Business Suiteを、それ未満の中堅企業にはSAP Business All-in-Oneを、さらに従業員が100人未満の小規模事業者にはSAP Business Oneをそれぞれ提供してきたが、新たにこの9月、従業員100人から500人の中堅企業をターゲットにしたSaaS型の「SAP Business ByDesign」を発表し、中堅の下のボリュームゾーンを埋めようとしている。
企業の枠を超えたBusiness Networkのためには、共通のビジネス言語が必要になる。SAP All-in-Oneはもちろんのこと、製品自体が異なるSAP Business OneやSAP Business ByDesignにおいても「Enterprise Services Repository」を核に据える計画だ。これによってSAPの顧客企業は規模の大小にかかわらず、バリューチェーンに対して容易に参加できるようになるはずだ。
「すべてのSAP製品は同じビジネス言語を喋る。多様なサービスを実装したポートフォリオによって、どんな企業のBusiness Networkの変化にも対応できる」とカガーマン氏。
「オンリーワン経営」のシャープを支えるSAP
この日、カガーマン氏からステージに招き上げられたのは、シャープの町田勝彦会長だった。1998年に社長に就任し、製造業にとっては厳しい時代を、液晶テレビや太陽電池などの事業に力を注いだ「オンリーワン経営」で乗り切り、同社を世界のリーディングメーカーへと導いた。
「1998年当時、グローバルな競争にさらされ、どう生き残るかを考えた。オンリーワンは、小が大に挑む戦略だった」と町田氏は振り返る。多額の投資を行っていたIC事業を開発中心へとシフトさせ、まだ赤字だった液晶事業に注力することを決めた。
「夢の壁掛けテレビを実現しよう」── 町田氏が示したビジョンの下、シャープは日本でのモノづくりにこだわり、「AQUOS」や「AQUOSケータイ」を生み出したのはご存じのとおりだ。
ステージには、日本でのモノづくりを極めたことで生まれた65インチの大型液晶ディスプレイが持ち込まれ、シャープの「経営コックピットシステム」がデモされた。同社は、SAP R/3をグローバル展開し、どこで何が起こっているかをリアルタイムで把握できるよう、世界のビジネスを「見える化」している。
「経営トップが大画面のコックピットでビジネスを把握し、部下に説明を求めれば効果は絶大だ」と町田氏。ITを活用したダイレクトなコミュニケーションがシャープのオンリーワン経営を支えている。
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