SOAやBPMで顧客基点のサービスを迅速展開するNTTドコモや三井住友海上:BEA Japan Forum 2007レポート(1/2 ページ)
「BEA Japan Forum 2007」では、新しい技術を活用して迅速に顧客視点のサービスを提供するNTTドコモと三井住友海上が登場し、「ITで実現するビジネス革新」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
「われわれのシステムは企業活動そのもの。まさに生命線だ」とNTTドコモの青山明彦氏が話せば、三井住友海上火災保険の玉田孝一郎氏も「サービスの品質を高め、信頼を勝ち取り、成長に寄与することがわれわれのITに求められている」と話す。会社の求めに応じてコスト削減やセキュリティ対策に忙殺されてしまっている情報システム部門が多い中、青山氏と玉田氏は、企業のビジネス戦略を理解し、成長を率先してリードする役割を担っている。
日本BEAシステムズの年次カンファレンス、「BEA Japan Forum 2007」が11月2日、都内のホテルで開催され、9月中旬のBEAWorld 2007 San Franciscoで明らかにされたプロジェクト「Genesis」を日本の顧客らに説明するとともに、いち早くその概念の具現化に取り組む企業のリーダーが登場し、「ITで実現するビジネス革新」をテーマにパネルディスカッションも行われた。
Genesisは、BEAのAquaLogic製品ファミリーが目指すビジョンを実現していくアプローチであり、ビジネスの革新をアプリケーションレベルで支援していこうという考え方。AquaLogicによってBPM(ビジネスプロセス管理)主導型のSOA(サービス指向アーキテクチャー)基盤を提供する同社が、さらにWeb2.0の技術を取り入れながら、新たな世界「SOA and Beyond」を切り開こうとしている。今後同社は、AquaLogicファミリーをSOA、BPM、そしてWeb2.0のソーシャルコンピューティング機能を統合・簡素化し、ビジネスユーザーが必要に応じてアプリケーションを変えられる「ダイナミック・ビジネス・アプリケーション」を構築・配備するためのプラットフォームに仕立て上げていくという。
来日したBEA SystemsのCTO、ロブ・レビー執行副社長は、「企業のCIOには、コスト削減だけでなく、年々激しさを増す競争を勝ち抜き、成長戦略を実現していくことが求められている。ビジネスプロセスの革新をもたらすプラットフォームが必要だ」と話す。
「システムは企業活動そのもの」とNTTドコモ
過半数のシェアを占める最大手の携帯電話事業者であるNTTドコモは、携帯電話によって新しいコミュニケーション文化を創造してきた。1998年にiモードサービスをスタートし、2002年には世界に先駆けて3GのFOMAサービスを投入し、高速化によるサービスの多様化も図ってきた。加入者5300万人のうち、3Gの利用者は4000万人を超えており、端末当たりの音声サービス収入が価格競争によって減少する中、データ通信サービスによる収入が徐々に増えており、その比率は急増、約1/3を占めるに至っている。
「この業界では音声サービスからデータ通信サービスへのシフトが進んでおり、パケット定額制による価格引き下げと新しいサービスの投入が、差別化の両輪となっている」とNTTドコモの青山氏。
青山氏がプラットフォーム部長として責任を負っているのが、今や年間1億3000億円の収入をもたらすiモードサービスのための「CiRCUS」システムだ。
「4700万人のiモード契約者は、1日平均10通の電子メールをやり取りし、Webも50ページ閲覧している。1日のアクセス数は24億7000万ページビューに達している」(青山氏)
まさにギネス級のトラフィックを処理するCiRCUSは、約1150台のサーバ、約220台(2000テラバイト)のストレージ、約1500台のネットワーク機器で構築されており、2004年には世界の主要なIT企業の経営者らが推薦し、ITで社会に貢献した革新的なプロジェクトを表彰する「ComputerWorld Honors」を受賞している。ちなみにNTTドコモは2006年、世界最大のワイヤレスインターネットプロバイダーとしてギネスに認定された。
「NTTドコモにとって、CiRCUSは企業活動そのものであり、生命線だ。1日止まれば35億円の損失となる。システムにはコスト削減はもちろんだが、24時間365日止まらない、99.9999%の高い可用性が求められ、しかも、年4回というペースで新規サービスを投入し続けなければならない」と青山氏。
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