BIツールは誰のもの?――競合との差別化は“現場指向”:Officeに新たな価値を
マイクロソフトが開発したBI製品は、経営者やマネジャー向けの従来型とは異なり営業マンなど一般社員にも大きくアピールしたい狙いがある。
BI分野の戦略製品でとくに注目したいのが「Office PerformancePoint Server 2007」だ。同製品は、予算管理などのプランニング、バランス・スコア・カード機能を備えたモニタリング、業績を可視化する分析・レポーティングといった一連のPDCAマネジメントサイクルを、単一データモデルを中心にシームレスに連携させることのできるBIツールである。
狙いは全社員のビジネス生産性向上
その最大の特長について、同社インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員本部長の横井伸好氏は、「当社のBIツールは、経営者から一般社員の方々まで全社員におけるビジネスの生産性向上を狙ったもの。それが実現できるのは、すでに広く使われているデスクトップOffice製品との密な連携による利用環境を提供できる当社だからこそ」と強調する。
筆者が同製品に注目するのもまさにその点だ。これまでのBIは、どちらかと言えば経営者の意思決定を支援するものとしてとらえられてきた。BIツールを提供してきたベンダーも専業が大半で、経営者の意思決定支援機能の高度化を競ってきたことから比較的高価な製品が多く、それが市場の広がりを妨げる要因ともなっていた。
それに対し、今回マイクロソフトが同製品によって提案したのは、企業組織におけるボトムアップでのBI活用法だ。その背景には、「BIを必要とするのは経営者やマネジャーだけでなく、むしろ営業マンをはじめとした一般社員こそが、日々の収益獲得活動の中で最もスピーディーな意思決定を迫られている」(横井氏)とのマイクロソフトならではの考え方がある。もっと言えば、この考え方はビジネスプロダクティビティインフラ全体に共通する同社のフィロソフィーだろう。
それぞれのソリューション分野ではこれから競合他社との激しいバトルが繰り広げられるだろうが、それが日本の企業の体質改善につながるならば、大いに結構なことである。
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