KDDIが挑む「アイデアをサービスに直結させる仕組み」:特選事例:電気通信会社の分析システム(1/2 ページ)
膨大なデータをほぼリアルタイムに分析することは容易なことではない。しかし情報分析がリアルタイムに近づくことで、アイデアをサービスとして実現させるパワーが生まれる。
導入前の課題
顧客の利用状況を把握するためにログを解析していたが、多様なシステムからログをPCに取り込み、集計するという手作業だったので、多大な時間と労力が必要だった。
導入後の効果
必要なデータはすべてBusinessObjects 内に集められているので、エンドユーザーはそれぞれの視点から簡単に、かつ正確にデータを分析することができるようになった。
KDDIが「au」ブランドで展開している携帯電話サービスは、周知の通り相変わらず好調に推移しており、今やEZwebサービスの契約者数は2500万人に迫っている。その躍進の要因は、顧客に満足してもらえる新しいサービスを他社に先んじて提供し、常に顧客の新しいニーズに耳を傾け続けているからだ。そして、「間違いなくそれを支え、躍進の原動力になっていると思います」とプラットフォーム開発本部モバイルプラットフォーム開発部開発3グループリーダーで課長の青柳裕三氏が胸を張って言うのが、「EAGLE」と名づけられたシステムである。これは顧客のニーズを的確にキャッチするツールと呼べるものだ。
顧客の利用状況を正確に、迅速に把握する
「EZwebのアクセスログを集積する環境」という意味が込められているという"EAGLE"が構築されたのは2003年のことだった。
このシステムは、アクセスログを分析し、顧客の利用状況を把握するのが目的だった。もちろん、当時もログ解析は行っていたが、手作業によるもので、手間と時間がかかっていた。開発3グループ課長補佐・鳥越裕貴氏は、当時を振り返ってこう語る。
「Webのプロキシやメールサーバなど、さまざまなシステムからPCにログを取り込み、それをExcelやAccessなどを駆使して1次集計し、さらにそれを2次集計してグラフ化していました」
しかも、顧客データは情報システム部の内部にしかなかったので、そこから切り出して持ってくるだけでも1カ月くらいはかかっていたという。データ分析は正確さと同時にスピードが求められる。できるだけ新しいデータを即座に分析できることが望ましい。
そこで、EAGLEの構築が始まるわけだが、肝心のBIツールとしてはBusinessObjectsが選定された。その理由について青柳氏は、「専門的な技術知識がないエンドユーザーでも直感的に簡単に使えるし、いろんな切り口で集計することもできるようになるから」と語る。
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