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カネをドブに捨てるプロジェクトの責任はトップにある間違いだらけのIT経営(1/3 ページ)

「ITは分からない」という理由で、導入の失敗の責任をトップが免れることはできない。効果の見えない導入があまた発生している現状を解決していくのは、トップの仕事である。

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IT導入「効果あり」と答える企業は半数以下

 企業にITを導入しても、所期の目的を達成するケースは少ない。

2006年末の総務省による企業の「通信利用動向調査」によると、「情報化投資における効果の程度」に対する企業の回答で、効果を認める企業は意外に少ない。質問のテーマがいくつかある中で、最も効果がみられたテーマは「商品またはサービスの質の向上」の「効果あり(低効果も含めて)」が49.6%、「効果なし」が21.4%、「判らない」が20.2%、一方最も効果の見られなかったテーマは「生産単位当りの調達コストの削減」の「効果あり」が26.1%、「効果なし」が35.5%、「判らない」が27.6%だった(そのほかに「無回答」がある)。

 情報化投資の効果を認めている企業は、何とほぼ26%強から50%弱しかない。長く問題視されていたIT導入の効果を、今に至るもなお多くの企業で認めていないというのが実態である。これは、ITに多額の投資を伴うことを考えると、実に由々しき問題である。

 もちろんIT導入の成功事例は各メディアなどでも伝えられるところだが、全体で見ると「効果があった」とはっきりと答える企業は半数にも満たないのである。

システムを構築する前に「人の構築」を

 ところで、IT導入を成功させるもさせないも人次第であるということは多くの人が指摘するところだ。なぜなら、導入するパッケージソフトを選択するのも、システムを構築するのも人、意識改革や要件定義など成功のためのすべての条件を整備するのも人、システムを使うのも人、だからである。

 前段に示した調査結果は技術的な問題とともに、人の問題も大きく影響していると考えられる。導入するパッケージがどうだとか、どんな技術でシステムを構築するかという前に、導入においてどんな人、チームを構築するか問題なのではないだろうか。

 そこで、IT導入に関わる人々がどう関わればシステムは所期効果を上げられるか、を考えたい。ただしこれは古いテーマなので、できるだけ実態に即した議論を試みたい。

 IT導入に関わる人々は多い。ユーザー企業内としてトップ、経営陣、CIO、情報システム部門、業務部門など、ユーザー企業の外としてベンダー、SE、コンサルタントなど、がある。随時取り上げていくが、今回は「トップ」である。

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