大学の個性を際立たせたい
兵庫県にキャンパスがある大手前大学は、日本の4年制大学では初めて「ユニット自由選択制」を導入、GPAによる成績管理、主専攻・副専攻を併用できるダブルメジャー制を導入するなど、ユニークな試みを積極的に取り組む大学だ。
eラーニングソリューション大手のデジタル・ナレッジは、ユーザーのニーズに合わせたラーニングシステムの構築に実績がある。
今回設立された新会社、デジタル・エデュケーショナル・サポートは大手前大学の上部団体である、学校法人大手前学園の理事長、福井 有氏が代表取締役を務める。資本金は2000万円で、大手前学園、デジタルナレッジの出資比率はそれぞれ66.5%と33.5%だという。
新会社は、今後大手前学園内での授業用eラーニングシステムを開発していき、設立4年目からは、他の高等教育機関などに外販していくとのことだ。
新会社がてがけるのは、教材コンテンツ開発だけではなく、システム全般の導入、運用管理のアウトソーシングサービス、教育補助者の管理育成、授業支援、教育プログラムの評価・改善にまでおよぶ。
新会社の社長となる、大手前学園の福井氏は「調査によれば、eラーニングを導入している大学の比率は高まっている。しかし実態としては、学生本位のコンテンツを用意し、運用、管理、教育補助者の育成までそろえているところはそれほど多くない。高等教育にこうしたシステムを導入していくことで、教育効果の大幅向上が期待できる」と語る。
またデジタル・ナレッジの、はが弘明社長は「eラーニングはコンテンツやシステムを購入して配信すれば良いというものではない。システム構築の前に教育内容についてのコンサルティングが不可欠だ。新会社ではコミュニケーション能力など、社会で最も必要になる分野も視野に入れている。その目的に合ったコンテンツづくり、システム構築、運用ノウハウを蓄積していきたい」と語る。
福井氏によれば、海外の先進国では、大学入学前にeラーニングを活用して、事前学習をみっちりと積み、学生の学ぶことへのモチベーションを維持しているという。
少子化の影響で、日本の大学では定員割れをしているところも多い。また、中途退学者の比率も下がらない状況もあるという。こうした中、新しい取り組みを粘り強く続け、成果を出すことでそれぞれの大学がその個性を発揮することが求められている。
「どんな教育を目指すか、学生に何を伝えたいか」こうしたことを明確にしてITを活用していく動きは、各方面から関心を集めている。
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