Wi-Fiウイルスが世界中で猛威を振るう日(前編):ビジョナリーが予測する10年後の情報セキュリティ(2/2 ページ)
10年後、いまわれわれが知っている情報セキュリティは存在しないかもしれない。おそらく個別の製品としてではなく、あらゆる製品に当たり前のように組み込まれるものになるだろう。あるいはWebサービスが伝統的なエンタープライズ・セキュリティを終焉させるかもしれない。
Wi-Fiウイルスが全世界に猛威を振るう
今後10年以内に、インターネットの主軸は西から東へシフトする。アジアのインターネットユーザーは、欧米のユーザーの10倍以上になる。その結果、英語系のWebサイトは少数派となって影響力を失い、他の言語サイトが興隆を極めるだろう。今後数年のうちに、中国、インド、その他のアジア諸国で、数億台のコンピュータが新たにオンライン化される。それらのコンピュータは、どの程度しっかり保護されるだろうか?
いずれインターネットアクセスは、電気と同じようにユビキタスなものになるだろう。そうなれば、人々はもはやインターネット接続を意識しなくなる。電話、MP3プレーヤー、自動車、冷蔵庫、時計……、どのようなデバイスもネット接続が当然とみなされるようになる。そうした状況は、もちろん、われわれに新しいセキュリティ問題を投げ掛ける。
なかでも、無線による攻撃が大きな脅威として浮上する可能性がある。近距離間でラップトップからラップトップへ感染するWi-Fi Windowsウイルスを想像してみよう。そうしたWi-Fiワームは、企業のファイアウォールやさまざまなセーフガードを飛び越え、近隣のオフィスビルに伝播していくはずだ。そして生物ウイルスと同様、人々の移動とともに、瞬く間に全世界へ感染経路を広げていくだろう。
信頼性の高いシステムアーキテクチャが必須に
今後解決すべきセキュリティの課題は3つある。
まず第1に、優れたソフトウェアエンジニアリング慣行と信頼性の高いシステムアーキテクチャをベースとするシステム開発(セキュリティ、信頼性、人的安全性、あらゆる不測の事態に備えるサバイバビリティ、ネットワーキング、相互運用性、発展性、オペレーショナリーアウェアなど)を促進すること。
第2に、ミニマムなサブシステム、例えば汎用システムのサブセットとして見られがちだったファイルサーバやネットワークサーバなど、特殊用途向けの信頼できるサーバを構築できる、あるいは特定のニーズに合致する信頼性の高いシステムを開発できる効率的なオペレーティングシステムとアプリケーションコンポーネントを実現すること。
第3に、信頼できるシステムに優れた暗号技術を組み込むこと。そして第4に、信頼できるシステムの構築方法を幅広く教育することだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 想定外の危機で企業の明暗を分けるもの
政府や自治体、企業などで事業継続への関心が高まるっている。BCM(事業継続管理)やBCP(事業継続計画)を本格的に導入する動きが活発化している。 - 経営視点のセキュリティ管理:「信じるに足る、期待する水準にある、結果を報告する」――ベストな監査結果はどれ?
これまで保証型情報セキュリティ監査はあまり普及していなかった。保証型情報セキュリティ監査の普及を妨げていた原因は、監査の厳格さとコストの高さにあったと考えられる。 - 日本はセキュリティ原理主義に走り過ぎか!?
ビジネスチャンスとリスクは「光」と「影」。効率的なリスクマネジメントは、何よりもまずバランス良くリスクをコントロールするが大切だという。 - ITベンダートップの眼で見たIT市場の現状と将来
昨年後半から世界経済を大きく揺り動かしているサブプライム問題、原油価格の高騰などに加え、新年早々には株安が追い打ちをかけ、波乱含みの2008年を迎えた日本経済。そうした状況の中で、ITには何が求められているのか。