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【第2回】大幅な年収ダウンでつかんだ安住の地CIOの実態(1/2 ページ)

「IT投資によって地域の健康増進に貢献したい」――大都市から地方の病院に転職したCIOが見いだした新たな課題と目標、そして活躍の場とは?

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 サンルイスバレー・リージョナル・メディカル・センターのCIOであるスペンサー・ハモンズ氏は、3年前、にぎやかなヒューストンからコロラド州南部の辺ぴなサンルイスバレーに転職したとき、3万ドルの年収ダウンを受け入れた。サンルイスバレーは、夫婦で何度も休暇を過ごした広大な高原盆地で、同氏はこの土地を愛している。

 ハモンズ氏は現在の仕事に満足しているが、それはもちろん、周囲の山々の雄大な景色のおかげではない。同氏は勤務先のサンルイスバレー・リージョナル・メディカル・センターのCEOと、良好な信頼関係を構築しており、ITが同センターで果たす、少なくとももう3〜5年はこの職場で働き続けるつもりだと、同氏は話している(ハモンズ氏を含め、調査に回答したCIOの40%は、現在の仕事を今後3〜5年継続したいと答えている)。

短期のキャリアプラン
短期のキャリアプラン

 ハモンズ氏は、大都市で培ったノウハウを地方のコミュニティーに持ち込み、変化を起こしていくことを目指している。「ITにリソースを振り向け、適切な人材を適切な場所に配置することで、何ができるか。それを示す優れた成果を積み上げていきたい。そうすることで、地域の健康増進に貢献したい」

過度のコスト削減で1年以上も放置されたままのデータ

 だが意外にも、ハモンズ氏は当初、サンルイスバレー・リージョナル・メディカル・センターへの就職を、断ることも考えたという。総ベッド数79床の2つの病棟を持つ同センターが同氏に声をかけたのは、役員を入れ替えた直後だった。それまで同センターでは、コストに厳しい資材マネジャーがITを統括し、2年間で8万ドルしかITに投資していなかった。ネットワークの稼働率は65%にとどまり、データのバックアップは1年以上も行われていなかった。「われわれは、自分たちがシステム障害に対していかに脆弱か、分かっていなかったということだろう」とCEOのラス・ジョンソン氏は語る。一方、ハモンズ氏は当時、ヒューストンのメソジスト・ホスピタル・システムでネットワーク・ファシリティ・オペレーション・ディレクターを務めており、同病院にOC-3の冗長ネットワークバックボーンと二重化された電源系統という先進的な装備を施したところだった。

ITにリソースを振り向け、適切な人材を適切な場所に配置することで、何ができるか。それを示す優れた成果を積み上げていきたい―─スペンサー・ハモンズ氏
ITにリソースを振り向け、適切な人材を適切な場所に配置することで、何ができるか。それを示す優れた成果を積み上げていきたい―─スペンサー・ハモンズ氏

 ハモンズ氏は3日間にわたってジョンソン氏と面談した。「非常に率直に話し合った」とハモンズ氏は振り返る。「わたしは彼にこう言った。『3日間で気付いた問題がこれだけあります。入社すればもっとたくさん見つかるはずです。わたしがこの仕事をお受けするとしたら、それは、必要なことを実行できるだけの予算を提供すると、あなたが約束してくれる場合だけです。また、500万ドルの出費をお願いすることはしません。しかし、たぶん100万ドルくらいはお願いすることになるでしょう』」

 IT環境が貧弱で、その抜本的改善が必要な組織にIT統括役員を招くのは、容易なことではない。だが、ジョンソン氏はハモンズ氏に、同センターはITに対する姿勢を改めると説得した。「人材採用は、誠実に接することから始まる」とジョンソン氏。

 「採用者について言えば、われわれのミッション、文化、チームワークスタイルに合っていることが重要だ。また、仕事を楽しむ姿勢や、優れたユーモアセンスも必要とされる。これまで見てきたところでは、われわれの組織のどのレベルの人も、職場のこれらの特徴的要素に魅力を感じ、たいてい定着してくれる」

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