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【第2回】成功の鍵は決定前の青写真BPMで経営に改革を(2/3 ページ)

企業の相次ぐM&Aや新規参入で活性化するBPM市場。一方で、ユーザー側ではBPMソフトを過信して失敗するケースも少なくない。そこで、CIOには正しい指標を見極めて導入をコントロールする力が求められる。

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マイクロソフトの参入で業界が大きく変わる!?

 マイクロソフトは今年に投入された「PerformancePoint Server (PPS) 2007」で、BPMベンダーの仲間入りを果たした。この製品はGlobal 2000からミッドマーケットのローエンドまで、幅広い企業をターゲットとしている。「この製品は世界を大きく変える可能性を秘めている。CPM業界はもちろんのことだ」と語るのは、ブロア・リサーチのブラウン氏だ。「業績の評価および分析に関して、(スタンドアロンBPMシステムの導入に要する)コストをかけずに、ミッドマーケットの中堅企業をエンタープライズレベルに引き上げてくれるはずだ」と同氏は語る。

 PPSは、Microsoft SQL ServerおよびOfficeと高度に統合化されており、日常業務プロセスとの親和性も高く、Excelのルックアンドフィールを持つ。いずれDynamics ERPスイートとも統合化されるだろう。将来的にマイクロソフトは業績管理を経営計画やワークフォース管理、販売、マーケティングなどの領域にも持ち込む考えだ。

 ガートナーのレイナー氏も、この製品に注目しているという。「マイクロソフトは、新製品をCPM“ライト”といった安易な方向に持っていかなかった」と同氏は評価する。それでも、この製品が市場に定着するには少なくとも2年はかかるだろう、とレイナー氏はみる。この間、企業はBPMスイートの導入に遅れないように心すべきだ、と同氏はアドバイスする。

 BPMパッケージのコストは、予算面で制約のある中堅企業のCIOにとって、大きな障害になるかもしれない。そのため多くのベンダーがBPMをオンデマンド・サービスとして提供し、価格を引き下げようとしている。カリフォルニア州マウンテンビューのアダプティブ・プランニングも、そうしたベンダーの1社だ。同社は、ホステッドBPMソリューションを利用すれば25万ドルのインハウスソリューションの10分の1のコストで済む、と主張している。またハイペリオンのパートナーで、ニューヨークに本社を置くホスティング会社、ピナクル・グループ・インターナショナルの1部門であるK2Analytics.comは、サービス型ソフト(SaaS)モデルを利用すれば、40%から50%のコストセーブが可能としている。

 K2Analytics.comはハイペリオンと提携した初年度に、ミッドマーケットの企業8社と契約した。他のBPMプロバイダもSaaS関連の動きを見せている。コグノスは今年はじめ、SaaSプロバイダが提供するBPMの数値をモニタする装置を開発したセレクエストを買収した。

 しかし、SaaS環境でBPMが機能するかどうかについては、疑問の声がないわけでもない。ブラウン氏は、BPMを試しに利用してみようという企業にSaaSは有効かもしれないが、長期的な利用にオンデマンドは現実的ではないと考える。

 「BPMには多数の異なるシステムがデータをフィードする。そうした仕組みにSaaSは最適か? わたしはそうは思わない。SaaSは人事やセールスオートメーション、あるいはシンプルな財務システムなど、アクティビティ/イベント・ドリブンの離散型システムには有効だが、連続的なモニタリングや計測といったCPMの特徴なタスクには適さない」と同氏。

 ミッドマーケットでは、もう1つの問題がBPMの有効性に疑問を突きつける。BPMは一般に、非効率性や非拡張性といったExcelスプレッドシートの泥沼にもがき苦しむ財務部門の要請で導入されることが多い。そのため、CFOがシステムの導入を先導し、CIOの助言を得ずに実行されることも少なくなかった。

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