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日本のマーケティング研究のパイオニアが語る「営業プロセスの活用」顧客関係のマネジメント(1/2 ページ)

マネジメントとは「予期して備えること」にほかならない。結果を生み出していくには、マーケティングと営業プロセスを分けて考え、マネジメントのムリ・ムダ・ムラを減らしていくことが大切である。

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積水ハウスの営業プロセス改革

 BtoBにおける営業の役割が、顧客の課題解決だとすると、その前提としてまず顧客関係を構築しなければならない。それを、どのように構築し、課題解決へと結び付けていけばいいのだろうか。

 住宅メーカーである積水ハウスの場合を例にとって見てみよう。住宅メーカーはBtoCであって、BtoBではないではないかという異論があるかもしれないが、両者を分ける大きなポイントは、購入を決定するのが1人の意思なのか、それとも複数の人間の意見の調整によるものなのかということである。BtoBは後者であり、それは住宅を購入する場合と全く同じである。だからこそ、分かりやすい例として積水ハウスの場合を取り上げる。

 同社のかつての営業は、まずは飛び込みやチラシ配りなどによって、家を購入しそうな顧客を見付け出すところから始まっていた。そうして有望な顧客を絞り込み、商品説明をして納得してもらい、成約にこぎつける。さらに、その後には当然、アフターフォローが続く。それらの一連のプロセスを、営業マンがたった1人で担当していたのである。

 これでは、顧客関係を効率的に構築することができない。そこで、同社では、住宅の購入を考え始めている顧客、つまり潜在的な顧客を呼び寄せるために住宅展示場を作った。もちろん、展示場にやってきた顧客と話をすることによって、どんな家族構成であり、どれ位の年収があり、どれ位の価格の家を購入したがっているか、というような基本的な情報を収集することも目的の1つである。そして、それらの情報はデータベースにきちんと蓄積していく。

 ここまでは、いわばマーケティングのプロセスであり、組織としての対応である。営業のプロセスは、そのデータを基に、顧客のライフプランや予算などを確認しながら、顧客が抱えている問題を解決していくことである。そのために、同社では、技術研究所に顧客を連れて行き、技術者と一緒に話をしてもらい、実際にさまざまな設備や装置を使ってもらい、納得してもらえるようにしている。

 このように、顧客関係を構築する上では、マーケティングのプロセスと営業のプロセスを明確に区分することが非常に重要なポイントになる。

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