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二者択一を超えたシステム構築手法を探る開発か購入かの時代は終わった(2/3 ページ)

社内開発か製品購入かの議論はもう忘れよう。システム開発を戦略的に推進するCIOたちは、自社のビジネスに最適なソフトウェアを構築することが可能なマッシュアップ・アプローチへ進んでいる。

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アプリケーション開発・導入に関する新たなアプローチ

 もっとも近年、社内開発でも市販製品の購入でも、そうした状況は多少変化した。製品購入の場合、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)と呼ばれる“レンタル”オプションが現れたことが挙げられる。通常、ソフトウェアのレンタルは営業経費であり、資本的支出ではない。またアップグレードは自動的に行われ、ユーザー数にかかわらずアプリケーションの導入が容易だ。一方、社内開発では、最近のホットなアプローチ、すなわちSOA(サービス指向アーキテクチャ)、Webサービス、あるいはオープンソースソフトウェアなどがアプリケーション開発を簡便化した。コーディングは旧来のプロプライエタリな言語より簡単であるにもかかわらず、機能は豊富だ。最近大学を卒業した若者たちはオープンソースに精通しており、請負業者やパートナーにも熟達した技術者が増え、大手ベンダーを脅かす存在になりつつある。SOAモデルも、リユースを促進し、アプリケーション開発を効率化する。

グレッグ・セーク氏はローソンERPシステムをアップグレードしたあと、機能拡張のためのアプリケーションを社内開発した
グレッグ・セーク氏はローソンERPシステムをアップグレードしたあと、機能拡張のためのアプリケーションを社内開発した

 「新しいアプローチは、価格と機能の方程式を根底から突き崩した」と語るのは、カリフォルニア州サンカルロスのソリューションプロバイダー、エマージンド・セキュリティのCEO(最高経営責任者)、デビッド・ソコール氏だ。「必要最小限の要求を満たすために、1万ドルのツールと10万ドルのソリューションを購入するといった状況は、もはやあり得ない」

 障害児童とその家族への支援サービスを提供するアリゾナ州ツーソンのヴィジョンクエストのCIO、グレッグ・セーク氏は、そうした現実を正しく理解している1人だ。同氏は最近、社内開発プラス製品購入というハイブリッドアプローチで、各州ごとに異なる医療扶助制度に対応したメディケイド請求パッケージを開発した。製品購入の部分では、既存のローソン製ERPシステムをアップグレード(バージョン7.0から9.0へ)した。しかし、ローソンのシステムでは州ごとに異なる細かな作業には対応できないため、特殊なコンポーネントを開発する必要があった。ビジョンクエストはペンシルベニア州の小さなソフトウェア開発会社をパートナーに選び、アプリケーションの開発に着手した。プログラミング作業は順調に進み、わずか数週間でそのアプリケーションは完成した。

 「わたしはCFO(最高財務責任者)やCEOの視点からリスクについて考え、こうしたアプローチにトライした」とセーク氏。「社内開発と市販製品の組み合わせでリスクを最小化することはできるか? ビジネス的にそのリスクを受け入れることは妥当か?」と。

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