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米経済を救えなかったヤンキース、日本の景気回復に影響も景気探検(1/2 ページ)

9月の米証券大手の破たんを発端にした米国の金融危機は、世界各国の経済に大きなつめ跡を残した。景気回復のけん引役となるはずの大リーグのニューヨーク・ヤンキースだったが……。

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 8月分の鉱工業生産指数(速報値)は前月比3.5%と大幅な減少になった。鉱工業生産指数の先行きを製造工業予測指数で延長してみると、2008年は1〜3月期から10〜12月期まで4四半期連続の減少になりそうだ。4四半期連続の減少は前回の景気後退局面であった2001年以来のことになる。また、11月中旬に発表される7〜9月期の実質GDP(国内総生産)の前期比は、横ばい、悪ければマイナスになりそうな状況だ。

 個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数に関して、7〜8月平均の対4〜6月期比は1.7%減となった。非耐久消費財出荷指数は同0.9%の増加だ。

 一方、需要サイドでは、家計調査の実質消費支出(住居などを除く)の7〜8月平均に対する4〜6月期比は1.1%減だったほか、乗用車販売台数は同1.6%減である。7〜8月分の個人消費関連データを総合的にみると、7〜9月期の実質個人消費の前期比は2四半期連続減少の可能性もありそうだ。

 設備投資の関連データである資本財出荷指数について、7〜8月平均の対4〜6月期比は5.8%減となった。資本財(輸送機械を除く)は同6.6%減、建設財は同1.1%減だった。供給サイドから推計される第1次速報値では実質設備投資の前期比は減少になるだろう。

 どうにかプラスに寄与しそうなのは実質輸出入だ。実質輸出入の動向をみると、7〜8月平均の対4〜6月期比は輸出が1.9%増、輸入が0.7%増であり、7〜9月期のモノの外需の前期比寄与度はプラスになりそうな状況だ。

景気動向指数の悪化で後退局面に……?

 9月調査の日銀短観の「最近」の動きをみると、大企業・製造業の業況判断DI(Diffusion Index:景気動向指数)はマイナス3ポイントとなり、2003年6月調査(マイナス5ポイント)以来のマイナスになった。6月調査からは8ポイント悪化した。大企業・製造業の業況判断DIがプラスからマイナスに転じるのは、2000年12月調査のプラス10ポイントから2001年3月調査でマイナス5ポイントになって以来である。

 また、6月調査の「先行き」で発表されたプラス4ポイントと比べて7ポイント悪化した。想定より弱い数字であるのは3四半期連続のことになる。景気が後退局面にあることを示唆する内容である。いまだ高水準の原油や原材料などのコスト高が企業収益を圧迫していることや、米国景気の減速などが要因となって幅広い業種でDIは悪化した。

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