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未曾有の金融・経済危機、今こそITの出番「2009 逆風に立ち向かう企業」三菱東京UFJ銀行(2/2 ページ)

大規模なシステム統合プロジェクトを完遂したメガバンクの雄、三菱東京UFJ銀行は、百年に一度という金融危機の中、生き残りを賭けて、さらなる経営改革に取り組む。根本常務執行役員情報システム部長は「ITの出番は多い」と話す。

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根本武彦常務執行役員情報システム部長

ITmedia じぶん銀行は、チャネルの改革を推進するため、異業種と提携した好例になりますね。

根本 チャネルの改革は、お客様がいつでもどこでもサービスを受けられるようにすることです。携帯電話に限らず、異業種と提携してきましたし、これからも行っていくでしょう。例えば、リアルの店舗やATMを持っているといったわれわれの強みと、他社の強みをシステム的に連携させ、今後ともお客様の利便性向上を図っていきたいと思います。

 これに対して、ビジネスの改革は、ソーシング戦略そのものです。規制緩和によって銀行も投資信託や生命保険を扱えるようになりましたが、情報システムをゼロからつくるよりは、外部のものを購入する「バイ」や、サービス提供を受ける「ユース」を積極的に活用します。既にマーケットが発達し、長年ノウハウを蓄積した先駆者がいる領域では、ゼロからシステム構築を行って出発していては変化のスピードに追いつけません。逆に新しいマーケットの場合は、情報システムを「メイク」し、さらにこれを「プロバイド」(提供)できる存在になろうと考えています。提供側になることで提携の幅も広げられ、マーケットに迅速に働き掛けられることになります。

ITmedia システムの改革はどうでしょうか。

根本 資源の活用力を高めるために、全体を鳥瞰するEA(エンタープライズアーキテクチャー)を基本とし、SOA(サービス指向アーキテクチャー)を技術戦略として推進していきます。プラットフォームは、仮想化技術によって資源のプール化を図ります。これらは開発期間を短縮し、コスト削減につながるのでしっかり取り組んでいきます。

 また、技術戦略以上に重要だと考えるのが、ガバナンスフレームワークの一段の高度化です。既存資産に関しては、しっかりとコスト分析を行い、新規開発に関しては、合目的性を厳しく問い、ベネフィットトラッキングを徹底させていきます。こうしたガバナンスは既に仕組みとして確立していますが、より実効性のある運営を図っていきます。

 さらに、現場力を最大化すべく、人材育成にも力を注いでいきたいと思います。これまで多くの優秀な人材がシステム統合に専念してきましたが、業務部門との交流を活性化し、OJTを通じて修行の場を広げたいと考えています。

 今回の金融危機に直面した経営が求める方向と革新が進むITは、同じ方向を向いています。それだけにITの出番は多いでしょう。コスト削減は当然ですが、それ以上に果たすべき役割は大きいと思います。

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