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コストを抑えつつも高品質なサービス開発で利益を追求するExecutiveインタビュー(1/3 ページ)

「楽天市場」をはじめとするeコマース事業で国内首位を走る楽天。先月末には会員数が5000万人を突破するなど勢いは止まらず、旧来型の小売・流通ビジネスにも大きな影響を与えている。好調を支えるサービス開発部門のトップに話を聞いた。

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 この経済不況の中において各企業が苦しむ中、インターネットショッピング事業を中心に着実に売り上げを伸ばしているのが楽天だ。強さの秘けつはどこにあるのか。同社の創業メンバーの一人である、取締役 常務執行役員 開発部長の杉原章郎氏に聞いた。


経営理念に忠実に

ITmedia 楽天は現在、どのような目標を掲げて前進しているのでしょうか。経営を担う立場としてお話いただけますか。

楽天で取締役 常務執行役員 開発部長を務める杉原章郎氏
楽天で取締役 常務執行役員 開発部長を務める杉原章郎氏

杉原 世界一のインターネットサービス企業を目指すというのが創業以来の目標です。これを掲げて年を追うごとに事業の中身を詰めています。それを遂行する中で感じているのは、エンドユーザー向けにサービスやシステム開発をするだけではなく、ショッピングモール「楽天市場」の出店者をはじめとする顧客、われわれ社員自身の3方向に目を向けて仕組みをつくっているということです。それぞれ使う人の気持ちになってシステム開発することが重要です。

ITmedia 楽天は成功に向けた5つのコンセプトも掲げています。これを情報システム部門の役割に置き換えるとどうなりますか。

杉原 当社は「常に改善、常に前進」「プロフェッショナリズムの徹底」「仮説→実行→検証→仕組み化」「顧客満足度の最大化」「スピード!スピード!スピード!」というコンセプトを打ち出しています。

 常に改善、常に前進については、つくっているサービスやシステムには終わりがないということを意味します。単に新しいシステムに組み替えるのではなく、改善するためにはどうすべきかと常に考えています。わたしたちが強く意識しているのは、社員一人一人の状態を可視化して、定量的に把握することです。それが分かれば、自ら良い方向に変えていこうと行動できるようになります。

 プロフェッショナリズムの徹底というのは、適当にお茶を濁すのではなく、プロ意識を持って限界まで仕事に取り組んでいくということです。ビジネスは制約条件下のゲームと言われるように、内部環境や外部環境などさまざまな制約があります。その中で最も良質なソリューションを生み出すことに挑戦しています。ですから人材育成についても、特に技術研鑽を重視しています。

 仮説、実行、検証、仕組み化は、仕事の手順を表していて、営業も開発もこのサイクルを大事にしています。サイクルを回す中で、例えばルーチン化した方がいい業務、属人的なミスを減らすためにシステム化した方がいい業務を選定します。

 それら3つを実行することが顧客満足度の最大化にもつながります。

 スピードは競争に勝つためには不可欠です。当社の社長(三木谷浩史氏)は、スピードは単なる「速さ」以上に、「加速度」と「俊敏性」の要素が重要だといいます。システム開発にもそれが当てはまります。楽天は、AmazonやeBayのように一度に多大な投資をするのではなく、金額も人員もスモールスタートして、ビジネス環境に応じて段階的に開発していく手法をとっています。

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