売り上げ目標だけで走るチームの落とし穴:タスクチームのススメ(1)(2/4 ページ)
組織で起こる問題の原因は単一の部門ではなく、複数部門にまたがっていることが多い。さまざまな要素が絡み合った組織の問題を解決するために作られるのが「タスクチーム」だ。本稿では成功するためのタスクチームの作り方を6回にわたり紹介する。
2-1 タスクリーダーの決定
タスクチームで最初に行うべきことは、リーダーを決めることだ。
マネジメントチームの会議で問題が提起され、その課題解決にトップダウン型でタスクチームを結成する場合、会議のアクションプランとして、マネジメントチームの誰かが適切な人をリーダーに任命する。ボトムアップの場合、言い出しっぺがリーダーになることが多い。
問題は、どのような人がリーダーになるかだ。リーダーはタスクチームの顔である。タスクチームの正否は、リーダーが握っていると言っても過言ではない。ではリーダーとして必要とされる資質はどのようなものか。
1.グッドコミュニケーターであること
人の言うことをよく聞くことができ、多様な価値観を受け入れ、異なる組織文化に対応できること。異なる意見でも否定せずに受け入れ、よりよい意見に昇華できること。そしてネガティブな要素が出てきた場合も、それを隠さずにオープンな議論を通じて解決する姿勢を持っていることだ。
2.変革のリーダーシップがあること
「わたしについてこい」というたぐいのリーダーシップは不要だ。他人の意見に耳を貸さないリーダーは多くの場合、弊害をもたらす。チーム全体が問題分析と解決に集中できるように常に活発な議論を促し、結論とアクションプランを導き出すための仕組みを構築できることが必要だ。場当たり的にならず、目的に対してブレることなく、現状の様々なしがらみにとらわれずに事実に謙虚に対処し、構造的に問題を解決できることが求められる。
控えめで他人を引っ張るタイプではない人でも、これができれば変革のリーダーシップに必要な条件を満たしている。
3.事務作業の手間を惜しまず、マメにフォローできること
会議が終わったら議事録をすぐに出す、定期会議とは別にメンバーに根回しをするなど、タスクチームの円滑な運営に必要な手間を惜しまないことが必要だ。
4.組織をきちんと理解していること
タスクチームには複数部門が参加しており、各組織で特有の事情を抱えている。それぞれの組織の概要を理解していることが望ましい。これは上記の3つに比べて重要度はやや低い。仮に組織の事情を知らなくても、グッドコミュニケーターであればそれを補完できる。
上記の条件を満たすために、リーダーを補佐するスタッフの力を借りてもいい。だが、基本的には一人でリーダーシップを取ることがタスクチームを円滑に進められる。
タスクチームのリーダーも本来の業務がある。しかし、ほかのタスクメンバーと比べると、タスクチームにかける時間ははるかに多くなる。リーダーがタスクチームに従事するためには、本業とタスクチームの目標ができるだけ近い人をリーダーに選ぶことが望ましい。タスクチームの目的と自分の仕事内容が一致していれば、タスクチームの成果と本業の問題解決が結びつく。マーケティング担当は部門をまたがる仕事を担当することも多く、タスクチームのリーダー候補として適任かもしれない。
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