売り上げ目標だけで走るチームの落とし穴:タスクチームのススメ(1)(4/4 ページ)
組織で起こる問題の原因は単一の部門ではなく、複数部門にまたがっていることが多い。さまざまな要素が絡み合った組織の問題を解決するために作られるのが「タスクチーム」だ。本稿では成功するためのタスクチームの作り方を6回にわたり紹介する。
2-3 タスクメンバーの選定
解決すべき問題と目的を仮定義したら、参加部門の定義とタスクメンバーの選出を行う。ここでは、先に考えた問題と目的を出発点にする。これらが明確であれば、どの部門がタスクチームに参加すべきかを把握できるからだ。
部門のリーダーごとにタスクの目的を説明し、参加者を選んでもらい、タスクメンバーを確定する。この場合、各メンバーに期待する役割や、仕事の内容を明確にしておくことが重要だ。
顧客をよく理解している人、問題の特定が得意な人、調整が得意な人、アイデアが豊富な人、技術に優れている人、人を動かせる人――など、個人によって得意分野は異なる。あらかじめ、メンバーに求める役割を明確にしておくことで、タスクチームを効率的に運営できる。
メンバーの選出は、タスクの正否を大きく左右する。メンバーは「たまたま時間が空いている人」ではなく、「各部門を代表できる人」に参加してもらうことが必要だ。タスクの重要性を認識してもらえない場合は、時間が空いている人がメンバーにかり出されることも少なくない。だがこれではタスクチームは成功しない。
組織として重要なタスクの場合、本来は組織を代表する部門長をタスクメンバーに据えることが望ましい。それが無理なら、部門長に準ずる人を任命したい。
変革に対する積極的な意志を持っていることも重要だ。1人でも消極的な意識を持っている人がタスクチームに参加すれば、それは次第にチームの空気を支配し、タスクの生産性を低下させる。ポジティブなメンバーが集まれば1週間で結論が出せる場合でも、ネガティブな人が入ることで結論を出すのに1カ月を要することもある。冷静な意見は貴重だが、「冷静」と「ネガティブ」は異なる。タスクチームのリーダーが各組織からタスクメンバーを任命するのが望ましい。
タスクチームの人数を増やしすぎないことも必要な考えだ。会議で活発に議論できる人数の上限は一般的に7、8人。不思議なもので、この人数を超えると全体の空気を察して発言しなくなる人が出てくるなど、会議の効率が著しく低下する。同様の経験をしたことがある人も多いのではないか。タスクチームは5、6人でチームを構成したいところだ。
次回はタスクチームのスケジュールやキックオフの方法などに言及する。
(注)本書に掲載された内容は永井孝尚個人の見解であり、必ずしも勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。
著者プロフィール:永井孝尚(ながいたかひさ)
日本アイ・ビー・エム株式会社ソフトウェア事業部にて、マーケティングマネジャーとして、ソフトウェア事業戦略を担当。グローバル企業の中で、グローバル統合の強みを生かしつつ、いかに日本に根ざしたマーケティング戦略を立てて実践するのか、格闘する日々を送っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「永井孝尚のMM21」で、企業におけるマーケティング、ビジネススキル、グローバルコミュニケーション、及び個人のライフワークについて執筆中。著書に「戦略プロフェッショナルの心得」がある。
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