ヤマハは、部門ごとに整備していた物理サーバを仮想化環境に移行し、サーバの消費電力を年間90%削減した。仮想化製品を提供したヴイエムウェアが4月20日に発表した。
仮想化製品「VMware Infrastructure 3」を導入し、物理サーバを仮想化環境に移行。ハードウェアやOS、その上で稼働するアプリケーションの運用作業を減らした。また、本番環境の3分の1を占めるスタンバイ機器が不要になり、OSの更新作業を半減できた。年間1000万円と見積もっていた5年後の消費電力コストは100万円に減ったという。仮想化環境の移行には「VMware vCenter Converter」と呼ぶ変換ツールを使った。
仮想環境への移行は2006年の夏ごろに開始し、2009年の1月に導入が完了。ヤマハの情報システム部、情報システムサポートセンターICTサービスグループ主事の伊藤宏美氏は発表文内で「(システムの稼働から)1年半近くトラブルも無く、安定稼働している。VMware Infrastructure 3の導入により、業務時間中のサーバの整備が可能になり、運用管理者が業務に集中できるようになった」と手応えを語っている。
物理サーバの削減台数は「公表できない」(ヴイエムウェア)としている。
同社はメインフレームで動かしていた基幹システムをERPソフト「SAP R/3」に入れ替えるなど、情報システムの「脱ホスト化」を進めている。従来は個別の案件の増加とともに部門のサーバを増設していたため、運用管理者の作業負荷や運用コストが増えていた。これらを削減するために、仮想化製品を導入した。
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