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「未来の顧客の価値観を予測せよ」――ブリヂストン・原執行役員エグゼクティブ会員の横顔(1/2 ページ)

目まぐるしく変化する消費者の価値観を把握し、常に一歩先を読んだ商品開発を進めていくことがメーカーには不可欠だという。

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 リーダーとして経営の現場などで活躍するITmedia エグゼクティブ会員を紹介する本連載。第2回目は、「タイヤ会社・ゴム会社として名実ともに世界一の地位の確立」を目指すブリヂストンの執行役員 タイヤ商品戦略担当の原秀男氏に、現在の取り組みなどを聞いた。


「未来のお客様に感謝される商品を開発する必要がある」と語る、ブリヂストンの執行役員 タイヤ商品戦略担当の原秀男氏
「未来のお客様に感謝される商品を開発する必要がある」と語る、ブリヂストンの執行役員 タイヤ商品戦略担当の原秀男氏

常に市場ニーズを探り、未来の顧客に感謝される商品を

――現在の業務内容を教えてください。

 2008年7月からタイヤ商品戦略部門を担当しています。もともとは商品企画という名前だったのですが、視野を広げ戦略的に商品を考えるべきだという経営トップの思いから変更されました。

 メーカーは世の中に貢献し、社会を豊かにすることに責任があります。当社も「最高の品質で社会に貢献」という創業以来の言葉を掲げ、事業活動を展開しております。社会を常に豊かにするためには、企業が存続しなければなりません。そのためには当然利益を出し続ける必要があります。利益は、将来への投資の原資となるものですが、この投資こそが、将来の社会をもっと豊かにするためのものだと考えています。

 その中において、メーカーの役割は、常に市場のニーズを探り、5年後、10年後に「これが欲しかった」とお客様に感謝される商品をつくるのが理想です。お客様に言われてからつくっているようでは遅いのです。

 未来に向けてどのような商品をつくるのか、その絵はわたしの頭の中では描けていますが、現実と大きなギャップがあるので、経営者、企画、開発、生産、物流などさまざまな部門と協力して、ギャップを埋めるための道筋を立てることが今の仕事です。


――仕事上で現在抱えている課題はありますか。

 消費者の価値観が従来にはないほどの早さで変化しているため、見えなくなっていることがたくさんあります。それをいかに可視化できるかが重要だと考えています。

 価値観の変化について、例えば自動車は、個人で所有するよりも複数人でシェアして必要なときに使うという価値観が芽生えつつあります。時間貸し駐車場のパーク24や、中古車販売のガリバーなどさまざまな企業がカーシェアリング事業に参入し、新たなビジネスが生まれています。生活用品に関しては、ユニクロやH&M、スーパーマーケットのプライベートブランド(PB)商品など安価なものが人気です。

 ただし面白いのが、必ずしも安ければ売れるというわけではないことです。本田技研工業(ホンダ)の新型ハイブリッド車「インサイト」は、いくら安いといっても180万円台ですからね。消費者の価値観を把握し、売れるべき商品をつくっているからにほかなりません。

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