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【第21回】自信と夢を織り込んだ経営戦略をミドルが経営を変える(1/2 ページ)

経営戦略の策定に立ち会う機会の多いミドルは、社員がワクワクし、士気が上がるような戦略を練り上げるべきだという。

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 大規模な会社であれば当然、小規模の会社であっても暗黙のうちに、企業と環境のかかわり方を将来的に示す構想や社員の意思決定の指針となるものを持っているかと思う。いわゆる経営戦略というものを立案し、それを実行することで各社は生き残ることができている*1。立案される経営戦略には、自社が事業活動を展開していく領域が示されていなければならない。ドメインの設定などと言われる。

 これを上手に示したものとして頻繁に紹介されてきたのが、NECの「C&C(コンピュータ・アンド・コミュニケーション)」だった。NECはこれで、コンピュータと通信の分野が重なり合う領域を自社の事業領域とすると宣言したのである。事業領域を定めた後には、その領域内で具体的にどのような事業を展開していくのか、各事業をどのようにミックスさせるのかを決定しなければならない。実際に事業を手掛けるためには、各分野で繰り広げられる競争に必要な経営資源の蓄積と配分についての決定が必要となる。さらには、そうした経営資源を活用して、いかに競争優位を実現するのか――コストで勝負をかけるのか、対象顧客を徹底的に絞り込むのか――についての決定が必要である。

<strong>図1</strong> 経営戦略の内容
図1 経営戦略の内容

 こういった内容にかかわる決定が行われることは、企業の経営において次のような役割を果たす。まずは、組織内で行われる各種の意思決定の調整の鍵となる役割である。企業組織内では、さまざまな意思決定が行われる。決定された経営戦略の内容は、そうした意思決定の指針あるいは決定ルールとして機能する。企業組織の構成員(場合によっては、バリューチェーンの川上、川下にいる外部の構成員)の協働があって初めて、企業活動は成立する。それ故、協働を可能にするためには、構成員の意思決定の統合が欠かせない。

 経営戦略はその統合のための指針、意思決定の調整のための指針として機能する。将来に向けての一貫した戦略があることで、ある一時点あるいは部署で下された意思決定が、別の時点あるいは別の部署の意思決定によって、さらに大きな成果をもたらすことが可能となる。進むべき大筋が示されていることで、構成員間における意思決定の対立は解消されやすく、時間的にもつじつまの合った意思決定が可能となる。

 加えて、構成員の注意の焦点や資源蓄積の方向をそれぞれ明らかにする役割もある。C&Cが決定されたことでNECにかかわる人たちの目線は、例えばインターネットなどコンピュータと通信にかかわる先端技術に向かうこととなった。そうした技術の蓄積が特に必要であることも指し示されることとなった。

<strong>図2</strong> 経営戦略の役割
図2 経営戦略の役割

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