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【第1回】Webマーケティングのこれまでの歩みWebマーケティング集中講座(1/2 ページ)

消費者や顧客の嗜好は目まぐるしく変化しており、企業のマーケティングも当然のように時代に合わせていかなければなりません。インターネットの登場により、数年前からWebを活用したマーケティング戦略が重視されています。本連載では3回にわたり、「Webマーケティング」のあるべき姿に言及します。

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 Webマーケティングを論じる前に、マーケティングとは何かを理解することは、これからの日本企業にとって大きな課題です。品質がいい優位性のある製品やサービスをつくったとしても、マーケティングが悪ければその製品は売れません。わたしたちは、いつどこでどんなマーケティングを行えばよいのでしょうか?

 ここで1つの例を挙げてみたいと思います。シリコンバレーのベンチャーキャピタルは、マーケティングリスクよりテクニカルリスクをとると言われます。テクニカルリスクとは開発リスクのことで、非常に高度な技術で追従を許さないと思われるような製品開発のための投資を行い、開発が失敗に終わったら、通常、数億の投資が無駄になるリスクです。ベンチャーキャピタルにとってはたかが数億のリスクなのです。

 ところが、開発に成功した会社が数社あれば、これら製品が売れるか売れないかはマーケティングの問題に移行します。この投資は、通常、数十億と言われています。つまり、マーケティングにはそれだけお金がかかり、失敗すればテクニカルリスクの10倍ものお金が無駄になるということです。

宣伝や販促だけではない

 しかし、開発時点でプロダクトマーケティングをしてみたらどうでしょう? プロダクトマーケティングとは、製品開発のためにユーザーニーズを拾い上げたり、β版でユーザーの声を聞き製品仕様に反映させたりするマーケティングのことです。ここで優位性のある製品=ユーザーニーズを把握した製品をつくることができれば、それ以降の顧客獲得のためのマーケティングコストは低く抑えられるはずです。

 そう、マーケティングとは、なにも宣伝や販促に限りません。本来のマーケティングとは、企業活動全般、つまり、製品開発、宣伝、営業、販売、カスタマーサポートすべてにわたり必要なものなのです。日本は大量生産の時代に「Japan as Number One」と呼ばれる最高品質の製品をつくり出し、マスメディアを通じて大量の消費者に向けて宣伝というマーケティングを行いました。その成功体験ゆえに、嗜好が多様化する時代のマーケティングについていけていない気がします。

Webマーケティングとは?

 では、Webマーケティングとは何でしょうか。以下のように定義できるでしょう。


(1)マスマーケティングが今まで企業活動のうち宣伝に重点を置いたものであるのに対し、製品開発から宣伝、営業、販売、サポートまで企業活動全般にわたるマーケティングであること。

(2)マスメディアという他社のメディアだけを使うのではなく、インターネット上のコーポレートサイトやe-コマース、サポートサイトなどの法人が自前で持てる「自社メディア」と、法人のターゲットユーザーが参加しているコミュニティーやSNSブログなどの「ソーシャルメディア」を使うマーケティングであること。

(3)顧客獲得や顧客の維持といったあらゆる顧客接点からの流入施策、Webサイトのコンバージョン、リアル店舗へのつなぎや購買、成約、そして分析からPDCAサイクルを回していくという一連のマーケティング活動であること。

(4)WebはPCに限らず、携帯やゲーム機、地デジなど双方向性のある数字を測定できるIP環境を持つデバイスを指すこと。


 ネットイヤーグループが手掛けたサイトを見ると、第1世代から第2世代、さらに第3世代に移行しようとしているところです。第1世代は、1990年代の情報提供の時代です。この時代には、企業にインターネットの重要性の意識が薄く、あらゆる部門がサイトの制作や情報発信に手を出していて、ぐちゃぐちゃになってしまったと担当者は悲鳴を上げていました。

 第2世代では、この第1世代の反省を基に、ユーザーのエクスペリエンス(体験)設計が何とかできてきて、顧客に迷惑をかけるこがなくなりました。ユーザビリティーを実現し、大手企業ではグローバルなサイトも含め、ガイドラインや運用方針を持つようになりました。ようやく自社メディアの意識も芽生え、テレビや新聞というスペース、時間に制限のあるメディアからインターネットというターゲティングメディアに移行するにつれ、企業ブランディングやプロモーション、マーケティングにインターネットを活用する例が増えてきました。

 第3世代では、これを事業戦略、マーケティング戦略の中核に据え、総合的に顧客接点を管理し、ソーシャルメディアを活用し、自社メディアをさらに発展、業務と連携させるというマネタイズの時代に突入しました。

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