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あの企業はなぜ大不況でも業績を伸ばしているのか生き残れない経営(1/2 ページ)

未曾有の経済危機によって多くの企業が苦しむ中、優れた経営手法で好業績を出している企業も少なからず存在している。そこには共通した手法があるのだ。

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 この大不況で多くの企業が塗炭の苦しみにある中で、優れた経営手法で好業績を出している企業が少なからずある。そこには共通した経営手法がある。しかし、単純に模倣すればいいというものでもない。共通した経営手法の背後には共通した経営哲学がある。それを見逃して経営手法の表面をなぞっても得るものはない。むしろ、多くを失うことになる。

 2回にわたり、優良企業の経営手法の例を整理分析しながら、その背後にある経営哲学を探りたい。成功した経営手法について、大きく新製品の開発と体質の強化に分けられる。今回は新製品開発に着目して事例を紹介していく。

新製品開発が屋台骨を支える

 まずは、新製品開発によって好業績を維持している企業の例である。2009年3月期連結決算でトヨタ自動車、日産自動車が赤字転落する中で、本田技研工業(ホンダ)は最終損益が前期比マイナス77.2%になるも、1370億円の黒字を確保した。この要因は製品開発にほかならない。何よりも他社が開発してない二輪車の落ち込みが小さい。

 四輪車事業が苦戦する中、二輪車事業の売り上げは台数で前年比8.5%増、外部顧客向け金額で9.4%の減少に止まっている。タイで高い環境性能と燃費性能を実現したカブタイプを新たに発売したり、ブラジルで二輪車史上初となる、バイオエタノールとガソリンをいかなる比率でも混合使用できるフレックス燃料技術搭載のモーターサイクルを発売したりと、新興国をはじめとする二輪主力地域で新製品を投入し健闘している。四輪事業でも大型車や高級車の落ち込みが大きい一方で、フィット、シビックなどの低燃費小型車の落ち込みは少ない。

 この不況期に業績予想の上方修正で注目を浴びるファーストリテイリングや、大幅な利益を生み出しているニトリも好例だ。ファーストリテイリングは、2009年8月期の連結業績予想を、売上高6820億円、営業利益1080億円と増額修正した。保温性に優れ、1000〜1500円という価格の割には値ごろ感のある「ヒートテック」というヒット製品や、990円のジーンズなどが貢献した。

 柳井社長のインタビューでの回答が、同社の製品開発に対する姿勢を示す。


「商売はきっちりした計画を立てて、それを実行することが大切ですが、現実には計画と違う局面が、毎週、毎日現れてきます。それに対してどんどん手を打つことが重要なのです」

「また、この1年の変化としていえるのは、経営トップであるわたし自身が現場に入ったことで、社員の中で『会社を変えていこう』という意識が強くなった点です」(ともに同社ホームページより


 ニトリは2009年2月期で最高益(当期純利益183億円)を達成した。中央部分の肘掛けを上げて3人座れるコンパクトなソファや、海外生産による価格競争力のある商品が高い人気を誇り、業績に貢献している。

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