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イノベーションパートナーになるための挑戦――サービス価値と顧客価値の一致とは潮目を読む(1/3 ページ)

サービスプロバイダーが提供する、コンサルティングサービスやシステム導入、保守・運用などの価格はどのような基準で決められているのでしょうか?

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 前回は、サービスプロバイダーの統合・合併の背景として、ビジネスモデルの変化について述べました。サービスプロバイダーが提供するサービスは、戦略策定からプロセス改善などのコンサルティングサービス、システム導入、保守・運用など多岐にわたりますが、それらに見合う価格とはどのように決められるべきなのでしょうか。

 今回は、顧客企業、サービスプロバイダー双方にとってサービス内容と匹敵する関心事である、サービス価格の考え方の潮流を述べたいと思います。

単価×工数=サービス価値?

 現在、コンサルティングやシステム導入関連サービスの値付けは、人材要員のスキルに準じた単価に工数を掛けて決める方法が主流です。「このスキルレベルの人材が何日間働くのでこの金額」という具合に説明しやすく合理的ではありますが、納得性という観点で見た場合にはどうでしょうか?

 まず、工数について、ファンクションポイントや過去の類似案件からの算出などさまざまな見積もり手法がありますが、どのような手法を使っても完全に正確な見積もりというのはあり得ず、不確実性が残ります。また、人材の単価については、サービスプロバイダーごとにスキルレベルに応じた単価が設定されていますが、実際は要員個々人が均一に単価に匹敵するスキルやサービスレベルを保有しているかどうかの根拠を明示することは難しいでしょう。

 このように不確実な工数に明確な根拠を示せない単価を掛け算したコストに基づいて価格を設定するという手法は前近代的と言わざるを得ませんし、サービス後に生み出される成果との関係性にも疑問が残ります。

サービスに値段をつける方法とは

 では、われわれが受ける身近なサービスを基にその価格設定を見てみましょう。典型的な例としては、医療や美容などのサービスがあります。施術に応じてサービス料金が決まっており、カリスマなど特別な人材のプレミアム料金を除けばサービス要員や施術時間で価格が異なりはしません。

 このように個人向けのサービスは、一般的にビフォー・アフター、すなわち、サービスの成果が予想しやすく、大きなタイムラグがなく享受できることもあるため、サービスそのものに値段をつけるという考え方は当たり前と言えます。われわれIT業界でもパッケージのライセンス料やメンテナンス料などはあらかじめサービス料金が設定されており、類似する考え方です。

 しかし、ビジネスプロセスの改革を含めたシステム開発プロジェクトなどは、サービスを受けてから成果が出るまでにタイムラグがあるため、それまではサービスの本質が分かりにくいのです。個人向けサービスのように、あらかじめ成果に対して妥当と思われる料金を設定することはできませんし、冒頭で述べたようにコスト積み上げでも納得性はありません。このように契約時に巨額の投資判断をともないながら、成果がすぐには分からないサービスに対して、どのように適切な値付けをすべきなのでしょうか。

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